マクドナルドのコーヒー大刷新に見た確かな道筋 わざわざ強調する「カフェ」にもっと来てほしい
以前から「消費者は(送り手が思うほど)業態を気にしない」の仮説でも取材を進めてきた。
例えば10年ほど前、若い女性に「最近、百貨店に行きますか?」と聞いた際、相手はこう答えた。「百貨店ですか……、あ、ルミネは行きますね。あとはパルコかな」。
もちろん、ルミネもパルコも百貨店ではないが、〈同じ感覚なのだ〉という感想を持った。
「カフェ」についても、そんな思いを抱いてきた。これもかなり前になるが、「のどが渇いたので、どこかカフェでもと思ってここにしました」というSNSに興味を持って見たら、ハンバーガーチェーン(マックではなかった)の外観画像が貼られていた。
コンビニの一角(カウンター席)で、買ったばかりのコーヒーを手にして座る消費者の多くは、「小売店でコーヒーを飲んでいる」とは思っていないだろう。
そうした視点からも、レストランを掲げていたマックの「カフェ」は興味深いのだ。
「本気カフェ宣言」の先に描く景色
今年から、ブランドとしての「マックカフェ」(McCafé)を通じて「本気カフェ宣言」を掲げた同社だが、その先に描く景色は何なのか。亀井さんはこう答える。
「『何がマクドナルドのカフェなの?』『私たちにしかできないことは何?』は、社内でもさんざん議論しました。そこで出た答えは2つあります。
1つは『誰でも、いつでも』の手軽さ。マクドナルドは1人でも、友人や知人と一緒でも、ご家族と一緒でも気軽に入れるお店です。メニューを注文する時も緊張しません。
もう1つはレストランですが、『食事と一緒に楽しめる自由さ』も持ち味。手軽さで選ばれているコーヒーの味をさらに高めましたので、それを含めた“最高のカフェ体験”をより身近に感じていただきたいと思います」
別の消費者取材では、マクドナルドの象徴でもある「ロゴ(ゴールデンアーチ)を知らない土地で見かけると、ホッとする」という声も聞いてきた。一定の安心感があるのだろう。
「これまでゴールデンアーチをご覧になって思い描いたのは、ハンバーガーやマックフライポテトだったかもしれませんが、コーヒーも思い出してほしいですね」(同)
同社の業績は好調だ。2022年12月期は原材料高などで増収減益だったが、既存店売り上げは2016年~2022年12月までの7年間、2020年3月を除いて前年同月を上回る。
また、コロナ禍で減速した国内のコーヒー消費量全体も回復基調にある。
刷新したコーヒーの今後がどうなるか。興味を持って注視したい。
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