マクドナルドのコーヒー大刷新に見た確かな道筋 わざわざ強調する「カフェ」にもっと来てほしい

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前述した、1971年に日本1号店が開業したマクドナルドでは、当初からコーヒーを販売していた。だが、当時の日本は喫茶店が強く、10年後の1981年には喫茶店の国内店舗数が「15万4630店」(※)と過去最高を記録したほど。「喫茶店でコーヒーを飲む」のは男性が多く、見慣れた光景だった。

※総務省統計局「事業所・企業統計調査報告書」を基にした全日本コーヒー協会の発表資料

カフェの客を奪った「マックとコンビニ」

2003年に「プレミアムコーヒー」を販売し、2005年には「100円マック」で100円コーヒーを始めたマクドナルドのコーヒーが、ブレイクしたのは2008年の「プレミアムローストコーヒー」販売からだ。「ドリンクの中でコーヒーは最も注文数が多い商品」である。

筆者はこれまで『日本カフェ興亡記』(日本経済新聞出版社)や『カフェと日本人』(講談社現代新書)といったカフェ関連本を上梓しており、メディアで解説する機会も多い。

その視点から、2008年の「プレミアムローストコーヒー」発売には注目していた。それまで同社のコーヒーの年間販売数は約1億7000万杯だったが、従来よりも高品質の豆を使った商品の成功により、年間販売数は約2億5000万杯(当時)に増えた。

これを見ていて、試行錯誤の末に成功させたのが「コンビニコーヒー」だ。こちらのブレイクスルーは、2013年にセブン-イレブンが仕掛けた「セブンカフェ」から。セブンカフェは初年度だけで約4億5000万杯も出て社会現象となった。今でも出勤時には、勤務先近くのコンビニで、コーヒーをテイクアウトしてから職場に向かう人も多い。

歴史の視点で整理すると、昭和型喫茶店から「ドトールコーヒーショップ」(1号店は1980年)や「スターバックス コーヒー」(日本1号店は1996年)など、セルフカフェにお客が流れ、そのセルフカフェのコーヒー需要をマクドナルドやセブン-イレブンが一定数奪ったことになる。

もちろん、コーヒー1杯が100円や120円で飲める手軽さも見逃せない。

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