「ステーキブーム」の裏側にある意外な新潮流 日本人が牛肉に求め始めたあの味と食感

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ドライエイジングビーフは熟成という工程を経るため、高級な霜降り肉は向いておらず、むしろ安価な赤身肉が最適。しかも通常の赤身肉と違い、1ポンドあたり4000円代と通常よりも高価格で提供できる。

歩留まりが悪いという欠点も

だが、熟成という工程を経るゆえに、外側の部分が乾燥してしまい、提供できる部分が少なくなるため、いわゆる歩留りは悪く、ひるがえって肉自体の原価率は高くなるという店舗側の欠点がある。けれども約30分かけてじっくりと焼くスタイルゆえに、その間に野菜その他、早く提供できる料理を味わいながら待つことにより、一人あたりの単価の向上が期待できる。

「听」でもワインと肉とのマリアージュを提唱し、肉が焼きあがるまで、お酒と新鮮な京野菜を楽しめ、そしてドライエイジングビーフを味わうといった見せ方のメニュー構成となっている。ドライエイジングという手法は、もともとはヨーロッパで冷蔵庫が無かった時代に、温度の低い洞窟や地下などに肉類を吊るして乾燥させたことを起原とする。

現在の先進国といわれているのはアメリカ。熟成は牛肉に限らず、馬肉や羊肉などにも見られるが、特に牛肉はアメリカ農務省によって8等級に分類された上位のプライム、チョイスといったグレードのものを使用し、それを掲示する店舗も少なくない。そもそもアメリカの人々は霜降り肉よりも赤身のほうが好むといわれている。日本では昨今まで逆であったが、それがここへきて、赤身重視へと変わってきている。それはまさに肉業界の革命ともいえそうだ。
 

はんつ遠藤 フードジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はんつえんどう / Hantsu Endo

1966年東京都葛飾区生まれ。東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方を1人でこなし、取材軒数は8000軒を超える。『週刊大衆』「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑 誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』『おうちラーメン かんたんレシピ30』『おうち丼ぶり かんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』(以上、幹書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事