「ステーキブーム」の裏側にある意外な新潮流 日本人が牛肉に求め始めたあの味と食感
ドライエイジングビーフは熟成という工程を経るため、高級な霜降り肉は向いておらず、むしろ安価な赤身肉が最適。しかも通常の赤身肉と違い、1ポンドあたり4000円代と通常よりも高価格で提供できる。
歩留まりが悪いという欠点も
だが、熟成という工程を経るゆえに、外側の部分が乾燥してしまい、提供できる部分が少なくなるため、いわゆる歩留りは悪く、ひるがえって肉自体の原価率は高くなるという店舗側の欠点がある。けれども約30分かけてじっくりと焼くスタイルゆえに、その間に野菜その他、早く提供できる料理を味わいながら待つことにより、一人あたりの単価の向上が期待できる。
「听」でもワインと肉とのマリアージュを提唱し、肉が焼きあがるまで、お酒と新鮮な京野菜を楽しめ、そしてドライエイジングビーフを味わうといった見せ方のメニュー構成となっている。ドライエイジングという手法は、もともとはヨーロッパで冷蔵庫が無かった時代に、温度の低い洞窟や地下などに肉類を吊るして乾燥させたことを起原とする。
現在の先進国といわれているのはアメリカ。熟成は牛肉に限らず、馬肉や羊肉などにも見られるが、特に牛肉はアメリカ農務省によって8等級に分類された上位のプライム、チョイスといったグレードのものを使用し、それを掲示する店舗も少なくない。そもそもアメリカの人々は霜降り肉よりも赤身のほうが好むといわれている。日本では昨今まで逆であったが、それがここへきて、赤身重視へと変わってきている。それはまさに肉業界の革命ともいえそうだ。
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