「ステーキブーム」の裏側にある意外な新潮流 日本人が牛肉に求め始めたあの味と食感
ザ・ステーキ六本木でも提供している部位は、赤身のリブロース肉で、オーダーを受けてから切り分けて焼き、熱々の鉄板で提供し、オリジナルソースで味わうというスタイル。ジューシーながらも霜降りと違って脂分がとても少ないので食べやすく、しかも低価格で提供できるという利点で、美味しさはもちろんだが「量」でも勝負というのが昨今の特徴のひとつだ。
また、“脱・霜降り”の流れは、もう一つの方向にも向かっている。それがドライエイジングビーフというジャンルだ。いわゆる熟成肉と呼ばれるもので、30日以上、「熟成肉セラー」とよばれる乾燥熟成庫で熟成させた肉を提供するというもの。こうすることで肉本来の持つ酵素の力により繊維質がじわじわと壊れ、ペプチドやアミノ酸が増加して旨みが格段に向上し、柔らかくて芳醇で、濃厚な味わいに進化するといわれている。
日本において、きっかけとなったのは2009年4月に発足した「日本ドライエイジングビーフ普及協会」(学校法人服部学園服部栄養料理研究会会長の服部津貴子氏が会長を務める)。新しい日本の牛食文化の創造に向けドライエイジングの熟成及び調理技術への正しい認識を普及しその研究と交流活動に務め日本の食文化の向上に資することを目的とし、セミナーの開催や、ニューヨーク視察ツアー、技術審査会などを行っている。
エイジングビーフを扱う店舗が続々
そして協会認定1号となった精肉卸の「肉匠 さの萬(静岡県富士宮市)により、特に全国に広まるようになった。ドライエイジングビーフを扱う一般の店舗も続々とオープンし、人気店舗が次々に誕生している。
例えば「ステーキハウス听(ポンド)」。2013年7月にオープンした店だが、母体が有名精肉店という利点を活かし、すでに十数店舗を構える。本店は京都で、大阪、名古屋、銀座、福岡にも出店。丸太町駅から徒歩2分の本店へと足を運べば、築約100年の町屋を改装した作りで、京都ならではの雰囲気にもぴったり。その町屋の正面に、なんと巨大な「熟成肉セラー」である肉のディスプレイが、通りからこれみよがしに配置されている。
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