また、バックアップとして利用する観点だと、auやUQ mobileのユーザーにはあまり役に立たない。KDDIのネットワークが落ちてしまえば、povo2.0も使えなくなってしまうからだ。実際、昨年の大規模通信障害では、povo2.0もサービスが利用できなくなっていた。バックアップ回線を選ぶときには、共倒れにならないよう、普段使っているキャリアと違う会社を選ぶことを忘れないでおきたい。
ドコモ回線なら日本通信が安い
では、KDDIのユーザーはどのサービスを選ぶべきなのか。3月下旬以降に提供されるソフトバンク回線を待ちきれないときには、別のサービスを検討してもいい。ただし、ドコモやソフトバンクには、現状、数百円で維持できるような格安のサービスはない。このようなときにチェックしたいのが、これらの大手キャリアから回線を借りるMVNO(格安スマホ事業者)だ。
中でも安いのは、日本通信が提供する「合理的シンプル290プラン」。その名のとおり、料金は月額290円しかかからない。しかも、この価格の中に、1GBのデータ通信料が含まれている。バックアップ回線として保持しつつ、メインのキャリアの通信環境があまりよくないような場合に切り替えて使うこともできる。合理的シンプル290は、その後1GBごとに220円ずつ料金が上がっていく。初期値は上限が10GBに設定されているが、実際に使ったぶんしか料金はかからず、上限を自ら変更することもできる。
普段は上限を1GBに設定しておき、バックアップ回線として使用したいときだけ、必要な容量まで上限を上げておくことが可能だ。日本通信もeSIMに対応しているため、とりあえずiPhoneに入れておくだけで済む。SIMカードを持ち歩く必要がないのは便利だ。1月からは、契約時の本人確認にマイナンバーカードを利用できるようになった。パスワードを入力し、カードをiPhoneでタップするだけでよく、契約も簡単にできる。
その日本通信から回線を借りるHISモバイルも、290円の料金プランを用意している。こちらは、やや料金プランの仕組みが異なり、データ通信量が100MB未満の場合のみ、290円になる。それを超えると1GBまで550円の料金がかかる。バックアップ回線として維持するだけなら日本通信と同額の290円だが、毎月少し使う場合は、やや高くなる点が違いと言えるだろう。また、日本通信と同様、HISモバイルもeSIMに対応する。
いずれもドコモ回線を借りるMVNOのため、KDDIやソフトバンクのユーザーがバックアップとして持つにはいいサービスだ。ただし、MVNOは大手キャリアから回線を借りているため、お昼休みなどの混雑時にはキャリアとMVNOをつなぐ接続点の容量がひっ迫して、速度が低下することがある。完全にドコモ回線と同じというわけではない点には注意が必要だ。
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