イーロン・マスクの思考を生んだ幼少期の愛読本 ブッ飛んだ未来像を描ける人になるための手法

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ちなみに、SFの元祖といわれている作品のひとつに『フランケンシュタイン』があります。怪物が出てくる、あのフランケンシュタインです。「怪物ホラーまでSFなの?」と驚くかもしれませんが、200年以上前に書かれた原作を読むと、巷に流布しているイメージとはかなり印象が違うことに気づきます。優秀な科学者が怪物を作ってしまう物語を通じて、科学者の社会的責任を鋭く問う作品なのです。

「怪物が出てきて怖い」という面を見ればホラーですが、「科学が怪物を作り出す」というわれわれの世界の「あり得るかもしれない別の姿」を描いたという点で、本作はまぎれもなくSFに位置づけられます。

このように、SFとは、最新の科学的知見を盛り込んだ難解でハードなものから、ファンタジーやホラーに近いものまで、非常に幅広い世界観を包み込むフィクションのジャンルです。そして、取り扱う世界観が極めて多様だからこそ、「別様の可能性を描く」という共通点が際立つのです。

今、時代の変化の速さに戸惑っている人は多いと思います。テクノロジーの進化に合わせてビジネススタイルも生活スタイルも変えなくてはいけないし、仮にコロナ禍が収束しても、別のウイルスがもたらす新たなパンデミックや、思いもよらない自然災害など、次なる危機に備えなくてはいけません。変化が激しい世界では、過去の勝ちパターンや既存のマニュアルは通用しなくなります。臨機応変に環境に適応して生き延びていかなくてはならないのです。

こうした環境では、過去の常識に縛られず、世界の「あり得るかもしれない別の姿」を常に考えられる人ほど有利です。SFが示すさまざまな可能性を、ぜひそのために使いこなしてほしいと思います。

人類は「SFになる」ことで進化してきた

しかし、何も今が特別な時代だというわけではありません。そもそも僕らが暮らすこの日常だって、フィクションから生まれてきたものなのです。

インターネットなんて全然なかった時代から、SFではAIやロボットが繰り返し描かれてきました。当時そんなSFを楽しんでいた人が、もし現在にタイムスリップしてきたら、誰もがスマホを持ち歩き、SiriやAlexaと会話している僕らの暮らしを見てどう思うでしょうか。「まんまSFだ!」と思うに違いありません。

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