年収30億円富裕税で日本は平等に貧乏な国になる このままでは金持ちから先に海外へ逃げ出す

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超富裕層への課税強化の税制改正案は、出る杭を打つ「ひがみ法案」ともいえる (写真:Elnur/PIXTA)

「年度末までに成立しないと国民生活に重大な影響を及ぼす重要法案」のことを「日切れ法案」と言うが、2023年度の税制改正で政府が提案している、所得が約30億円以上の超富裕層を対象にした最低負担措置の導入(「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」)は、”ひがみ法案”といえる(2025年導入予定)。

サッチャー元英首相は、「ひがみは人間の最も下劣な品性だ」と看破したが、それを具現化した法律だ。成功者をひがみ、引きずりおろして留飲を下げる目的だけの法案としか思えない。

1月30日(月)に発売する週刊東洋経済2月4日号では「大増税時代の渡り方」を特集。来るべき大増税時代に備え、生前贈与による節税法やNISA(少額投資非課税制度)のイロハまで、さまざまな税金との向き合い方を盛り込んでいる。

税収はわずか200億~300億にすぎない

この法案で期待される国の増収額だが(私は税の専門家ではないので正確な分析はできないが)、「所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定される」と新聞報道にあるので、ひとりあたり1億円ずつの追加徴収だと仮定しても、せいぜい200億~300億円の増収にとどまるだろう。2022年度第2次補正予算後の赤字(公債費)62.4兆円に比べるとゴミみたいな増収だ。

週刊東洋経済 2023年2/4特大号[雑誌](大増税時代の渡り方)
週刊東洋経済2023年2/4特大号では「大増税時代の渡り方」を特集。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

たいした増収ではないのは該当者が毎年200~300人と少ないからだ。その該当者も大部分はベンチャーを起業し成功して株を上場した人たちではなかろうか。

2005年まで発表されていた高額納税者(長者番付)では、逆算して年間30億円以上の所得長者はいてもせいぜい数人だった。この番付には分離課税での納税額は含まれていない。したがって、今回の税制改正の対象者が200~300人もいるのであれば、それは、ほぼ全員が源泉分離課税での納税者、すなわち株長者だと想定される。

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