生前贈与、親の死亡前7年なら「精算課税」が得だ 年110万円ずつなら無条件で770万円は税金なし
ますます親から遺産をもらえる手段が狭まる━━。
生前贈与のあり方が2024年1月1日から大きく変わる。今回決まった2023年度税制改正を受けて、相続税・贈与税では、課税対象が大幅に拡大された2015年以来の抜本的な見直しになった。
最も変更されたのは生前贈与である。「暦年課税」において相続加算の期間が3年間から7年間に延長されたことだ。
1月30日(月)に発売の週刊東洋経済2月4日号は「大増税時代の渡り方」を特集。来るべき大増税時代に備え、生前贈与による節税法やNISA(少額投資非課税制度)による投資のイロハまで、さまざまな税金との向き合い方を盛り込んでいる。
毎年110万円まで税金はかからないはず、が…
毎年、基礎控除の110万円までは贈与税がかからない「暦年課税」だが、相続が発生する=親が死亡すると、贈与した金額が相続財産に加わって相続税が課される、“持ち戻し”というルールがある。現状では、相続発生からさかのぼって3年前から、相続加算の対象になる。これが改正によって、7年前へと期間が延びる。
つまり生前贈与をするなら、親にとって、子に贈与してから7年超は生きなければ節税の効果が薄い、ということだ。人生の晩年に7年先を予想するのは、本人も家族も難しい。いずれにしても期間が長く伸びたことで、より生前贈与の効果を発揮するのが難しくなる。激変緩和を考えてか、延長する4年間には、計100万円まで加算しない例外措置も作られた。
7年間という期間は絶妙な数字だろう。政府税制調査会では、5年間か10年間かで議論が分かれたが、結局、その間を取るような結論で終わった。理詰めで考える大学教授などは、より長く取れる10年間を望んだが、実務を担う税理士業界側はより短い5年間を望んだようだ。
確かに10年間も、贈与契約書を毎年作成・保存するのは、当事者にとって相当な手間であり、当事者をサポートする税理士の負荷も大きい。その分を請求できるとは限らない。
これらは2024年1月1日からの贈与に適用される。正直、デメリットは大きい。現状のルールで掛け込むなら、あと1年を切った。
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