年収30億円富裕税で日本は平等に貧乏な国になる このままでは金持ちから先に海外へ逃げ出す

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今回の税制改正では、生前贈与の相続税への3年内加算ルールが7年内加算へと延びた。これも私に言わせれば、相続税・贈与税の課税強化だ。

世界中で相続税の無税化、軽減化が進行しているとき、日本だけは重税化が進んでいる。なぜ世界で相続税・贈与税の無税化・軽減化が図られているのかを分析するべき。過度の再分配は国を弱体化させる、その結果、ひとりひとりの国民も貧乏になるという分析の結果だと、私は考えている。

欧米人と話をすると、「何に投資をするとリターンが上がるか」の話になる。「投資リターンが高い産業」とは、その国が必要としている成長産業だ。そこに金が集まる。一方、日本では「何に投資するか」の話になると、「相続税の節税商品」の話となる。国を引っ張るリーダーたちが相続税節税のため、頭と膨大なエネルギーを使う。どの成長産業に金を向けるかの話が二の次では、この国のパイが大きくなるはずがない。

ちなみに私は参議院議員時代、財政金融委員会で税の質疑に立った際は、いつも相続税廃止を主張していた。「諸外国が相続税の無税化か軽減化をしているのに、なぜ日本だけは重税化するのか?」と質問すると、政府は「アメリカも重税化しています」との答弁をしてくるので、唖然とした。

たしかにアメリカでは、一時無税化していた相続税(連邦遺産税)が復活した。その意味では重税化だが、今でも親から相続したとすると、1206万ドル(約16億円)までは基礎控除。被相続人が税を負担する仕組みで、母親、父親の両者から相続する場合には各約16億円、計約32億円まで基礎控除となるわけだ。「配偶者と子ども2人だと4800万円から相続税がかかる日本と同様、重税化していますと答弁されてもな」と思ったのを鮮明に覚えている。

国全体が豊かになる税の設計をすべきだ

相続税・贈与税の年間税収は例年ほぼ2兆円。消費税約1%分だ。私は相続税・贈与税を廃止し、消費税をその分1%上げたほうが、国力を飛躍的に伸ばせると思っている。その結果、ひとりひとりが、より豊かになるはずだし、税収も増えるだろう。パイを大きくすればパイの分け方が同じでも、国民全員が豊かになるのだ。

税とは国全体が豊かになり(=パイを大きくし)、1人当たりの生活も豊かになることを第一義に設計されるべきものだ。そうすれば結果として税収も増える。格差是正を第一義に設計されるものではない。

格差是正の税制とは国が大発展し、大金持ちがさらに大金持ちになって、格差が無視できないほどの社会問題となった時に考えるべきものだ。日本はその段階に到着してはいない。もちろん国民の生命と財産を守るのが国の最大の責務だから、真に生命が危機に面している人たちへのセーフティーネットの確立が前提での話であるのは当然だ。

どの税目にしろ、増税となると、激しい抵抗の声が上がる。しかし私が参議院議員だった時の感想は、「この財政危機のときによくもこんなにたくさんの緊急性のない歳出がゾロゾロ出てくるものだな」だった。

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