テスラ「業績絶好調」でも"中国では大苦戦"の苦悩 現地では「EVメーカー」の淘汰加速の予測の声も

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一方で、2023年の中国の自動車業界は「成長」よりも「淘汰」の年になるとの予測が多い。

業界団体が延長を求めていた自動車取得税の減免政策は昨年末で打ち切られ、自動車市場はゼロ成長に陥ると危惧する声もある。新エネルギー車市場は30%~40%の伸びが期待されるが、この数年に比べると減速が鮮明だ。

さらに今年はIT大手バイドゥが設立したEV子会社「集度汽車」、鴻海(ホンハイ)精密工業が初の量産車の市場投入を予定する。

有力メーカーの撤退が相次ぐ

その一方で、すでに昨年から、競争に敗れた有力メーカーの撤退が相次いでおり、2022年10月に欧州自動車大手ステランティスが、広州汽車集団と設立した「ジープ」ブランド車を生産する合弁会社の破産申請を発表、ホンダと広州汽車が共同生産する高級ブランド「アキュラ」も中国から撤退した(アキュラ撤退記事はこちらから:アキュラ中国撤退で懸念される"中国撤退ドミノ")。

EV企業も例外ではなく、2番手グループ「威馬汽車」が昨年末に資金難と報じられたほか、上場した零跑汽車も競争力の弱さが懸念され、株価が低迷している。

中国汽車流通協会の肖政三副会長は、中国メディアに寄稿し「2023年の新エネルギー車市場の成長は減速する。値上げ、消費の低迷、テスラなどトップ企業の値下げによって、中国メーカーは逆風にさらされるだろう」と述べた。

自動車業界はリチウム電池など原材料高にも直面している。昨年は多くの中国メーカーが自動車取得税の減免対象となる30万元以下を意識して価格付けしていたが、政策が打ち切られると、値上げに動き出した。BYDも今月1日に2000~6000元(約3万8000円~11万4000円)値上げした。

業界リーダーのテスラの値下げは、競合メーカーにとって脅威にほかならない。テスラのモデル3とモデルYはBYDなど中国勢の主力車種とほぼ同水準まで下がり、現地の報道によると値下げ後1週間で中国での販売は前週比4~6倍に増加した。BYDの店頭では、テスラに乗り換えるため注文キャンセルも発生しているという。

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