もちろんこの調査設計は、10代の若者が合理的で将来を考えており、今日の危険な行動が大きな禍根を残しかねないと心得ていることを前提にしています。
10代の若者が性行動をめぐって合理的な判断をしていると思う人は少ないでしょうが、この研究では、高校の3年生はコミカレの学費が1000ドル上がるたびに学業を続ける意欲が5.7%減るとされています。彼らが実際、将来を設計するうえで、学費を計算に入れていることを示唆しています。
先に、米国の10代の妊娠率は先進国で最高で、カナダの倍以上と述べました(1000人当たり米国では39人、カナダでは14人)。この10代の妊娠率の差異は、米国と高等教育がとても安い欧州諸国とを比べるとさらに際立ちます。
米国の10代の妊娠率はドイツとフランスの3倍、オランダの4倍です。これは何よりも、米国の低所得層の10代たちは、高等教育の期待についてはるかに悲観的にならざるをえないためと考えられます。
最近の10代より両親世代のほうがヤッていた
今、米国で10代の子を持つ現代の親たちは、高校時代に自分たちの子供よりも性的に活発だった初めての世代である可能性が十分にあることは、特記に値します。
個人的な記憶ですが、私は20代前半だった頃に、自分たちの世代はセックス革命の最終世代で、後続世代は私たちが若かった頃並みの性的自由を持とうとしないかもしれないと思ったものです。そう思ったのは、HIV/エイズ関連の意識の高まりのためでした。
今思えば、こうした疾病は10代の性行動を減らしはしたでしょうが、20年にわたって着実に彼らの性行動が減り続けているからには、やはり経済学的な要因こそがその理由であることを示唆しています。
昨今の報道では、10代の性行動の鎮静化には「恐れ」が大きな役割を果たしているとされ、私もそう思います。それは、この30年間に生活水準を大幅に引き上げられたのは高等教育を受けられた人たちだけであり、所得階層の最上級層だけが派手に散財している一方で、ほかのみんながかつかつにやっていくのが精いっぱいという状況で、最底辺層に取り残される恐怖です。
若くして子を持ってしまうと、生涯にわたって経済力が下がり、それが若者たちに性行動についてより慎重にさせているということです。
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