「格差」と「10代のセックス」の意外な関係 カナダ名門大講師が教える恋愛の経済学

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文化とか社会的なムードを考えるとき、それらは自己や周囲の環境に対して外的なものと考えがちです。しかしそれらは、眼の色や体型などと同じく、私たちが受け継いでいるものです。

エコノミストは、文化を内因性と考えます。すなわち経済的環境によってその社会の内部で決定されるものということです。私たちは確かに文化を引き継ぎますが、それは経済環境を引き継ぐからでもあります。だから、そんな経済環境が変われば、その社会の文化も変わります。

こうして、格差は貧しい人々に、自分たちの経済環境は不可避かつ不変であるという感覚を育んでいきます。

格差の小さい州では、貧しい所得階層の女性が20歳までに出産する率は、格差の高い州の同様の女性と比べて5%も少ないことが実証研究でわかっています。加えて格差が少ない州の女性は、格差が高い州の同類女性に比べて、妊娠時の中絶率が4%高いのです。

10代が勉強するかセックスするかは学費次第

ところで、大学教育が経済的に手の届くものであるなら、恵まれない出自の学生でも、いつか大卒の学歴を要求する高給職に就く夢を持てることでしょう。

しかし教育費はとても高いので、多くの学生は自分には大学進学の夢はかなえられないという現実に直面しています。そしてそうであるなら、高校在学中に子供を持っても失うものはなく、進路の選択肢を狭めることにはならないのです。

となると、大学の学費と10代の妊娠率とは、相関関係がありそうです。エコノミストのベンジャミン・コーワンが先ごろ発表した論文では、全米のデータを用いて、公的なコミュニティ・カレッジ(コミカレ)の学費や費用が安い州の10代の若者は、高等教育への道が開かれているという夢を持っているのかどうかを検証しました。

その結果は、コミカレの学費が1000ドル下がるにつれて、17歳の高校生の性的パートナーの数がなんと26%も減るというものでした。さらに、ほかの危険な行動も低減することがわかりました。たとえば喫煙(14%低下)、マリファナ吸引(23%低下)などです。

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