頑張ってるけど「抜擢されない人」に欠けた視点 能力開発だけでは成長も活躍も行き詰る理由

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この1から5のステップの順番に実践をしていけば、誰にでも、その人にとって最適な人脈ができるのです。留意していただきたいのは、五つの項目はこの順序が重要であり、一つずつのステップを積み上げていくことが必要だという点です。

「効果的な人脈構築は1日にしてならず。されど、誰もが実践できる方法はここにあり」 という汎用性の高いモデルです。

人脈レイヤーを上げる

このモデルのもう一つの重要な要素となっているのは、「人脈レイヤー」という概念です。 人脈スパイラル・モデルを一周りするごとに「人脈レイヤー」が上がり、自分の能力も、付き合う人(人脈)のレベルも、活躍するステージのレベルも、「スパイラル(らせん状)」に昇華していく、というダイナミックなモデルになっています。

人脈スパイラル・モデルのステップ1〜4で人脈を構築し、その結果、その人脈から抜擢されてステップ 5の機会を獲得し、そこで実績を積むことによって「ぐいっ」と目線が上がり、「一つ上の人脈レイヤー」に押し上げられることになるのです。一つ上の人脈レイヤーに上がると、活躍のステージも、自分の付き合う人脈の質も「ぐいっ」と上がります。

また、自分の目線が上がると同時に、付き合う人のレベル感も上がるわけですから、同じ人脈レイヤーにいる仲間を鏡のように手本として見ることによって、新たに自分に不足している能力開発のニーズ(Development Needs)に気づくことができます。 新しく自分の周囲にいる人々を見回してみたら、「まじめな議論をすると、みんな意外に次元の高いことを考えている」とか「みんな意外に古典に対する見識がある」「実はファイナンスをよく勉強している」といったような、自分だけが取り残されているような「ひやっとする」感覚を持つのです。

そして2周目の人脈レイヤーにおいても、さらなる能力開発をしながら、そのレイヤーの人脈の中で貢献ができるよう1周目同様の努力を実行していくのです。そうすると周囲の人脈から機会をもらうことも増えますし、3周目以上の上位レイヤーとのアクセスも増え、さらに上位のレイヤーから抜擢される機会も各段に増えるのです。

このように人脈構築と能力開発の両輪を伸ばす努力を繰り返すことによって、人脈レイヤーが次々と上がり、それと同時に「抜擢の機会」が巡ってくる頻度・質の高さ・多様さもが、増していくのです。

変化の激しい時代、自ら動かない者には果実が与えられない時代になってきました。だとすれば「良いポジションを与えられるかもしれない機会」「成長できる機会」を運頼みにせず、もっと積極的に、戦略的に、それらを引き寄せる努力をすべきではないでしょうか。

人脈スパイラル・モデルを参考にしていただき、実際に「抜擢の機会」を得て、能力を開花させ、実績を積み重ねる人が増えれば、本当にうれしく思う次第です。

岡島 悦子 ヒューマンキャピタリスト、プロノバ社長

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おかじま えつこ

ヒューマンキャピタリスト、経営チーム強化コンサルタント、リーダー育成のプロ。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー、グロービス・グループを経て、2007年プロノバ設立。丸井グループ、セプテーニ・ホールディングス、マネーフォワード、ランサーズ、ヤプリにて社外取締役。20年12月より、ユーグレナの取締役CHRO(非常勤)に就任。世界経済フォーラムから「Young Global Leaders 2007」に選出。著書に『40歳が社長になる日』(幻冬舎)他。

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