平均6200万「新築マンション」あと3年は高騰の訳 売れ行きは悪くなりつつあるのに下がらない

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次に価格と供給戸数の関係を見てみよう。

2022年の首都圏の1戸あたり当たり平均価格は過去最高となる6288万円で、28万円(0.4%)アップした一方、供給は前述のように12.1%減少した。通常、価格が上がると購入する人が減るので、供給戸数は減少するが、それを考慮しても供給戸数の水準は低い。2000年の9万5635戸、平均価格4034万円、総販売額3.86兆円からすると2022年は半分しかなく、供給戸数は31%にすぎない。

この程度の供給では希望する立地に新築が出てこないことも多く、エリアを絞り込んでいる人は中古を中心に検討するほうが現実的となる。

供給されたマンションの立地が悪化

2022年の最大の特徴は立地の悪化であった。2022年における首都圏内の都区部の供給割合は36.5%で、前年の39.5%から3%下がった。2013年に50.2%だった都区部割合は今や当時の7掛けほどしかない。その都区部の中でも立地は都心部から郊外化しており、「この場所でこの価格」と驚きを隠せない物件も多く見られた。

マンションの資産価値を決める最重要項目は立地であり、都心寄りで駅寄りであるほどよいが、新築でその条件を満たすものは少なくなった。この意味でも、新築ばかりを探していてもいい物件が見つかりにくいので、買いたい方は中古マンションを探すことを勧める(中古マンションの購入目安については『中古マンション、今買うなら「築21年以内」がいい訳』参照)

では、今後の新築のマンション価格はどうなるのか。

新築の市場規模は小さくなり、売れ行きは悪くなってきたものの、売り主にとっては売り急ぐ要素はない。それは在庫が少なく、困っていないからである。このため、値引きも期待できない。財閥系などのマンション大手7社を自称「メジャーセブン」と言うが、こうした財務力があるところは長期戦で販売戦略を立てることができる。この意味で新築は売り主の言い値で買うしかないのだ。

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