会社の明るい未来に「忍者人材」が必要とされる訳 新市場を探りながら、いろいろ仕掛けていく

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こうして、未来創造のプロジェクトは「失敗の烙印」を押されて解散し、以後は「黒歴史」のみが残る。ヘタをすると、この失敗の記憶がずっと残ったまま、未来創造にチャレンジできない会社になってしまう。

本業の基本は「すべきことを正しくする」ことであり、ミスや失敗をすると大きなマイナス評価がつく。

それに対し、未来創造は「失敗という経験」を通じて知見を高め、最後に成功をつかみ取るプロセスだ。この「貴重な失敗」を積み重ね、学習してきた人こそ、価値のある人材だ。それが本業と同じ人事評価を未来創造の部門に当てはめると、最も価値の高い人材が、最もマイナス評価されてしまう。

社員もそんな先例を見てしまうと、チャレンジしようとしなくなる。そして、未来創造の人材が育たない会社になってしまう。

本業は、業務がある程度パターン化されているので、前例を知る人が揃った会議で議論し、全員賛成が前提の稟議による意思決定をしても回る。
しかし未来創造とは、前例がない、かつスピード勝負の世界だ。

未来創造では、情報がそもそも不足し、それも変化するなか、メンバーが迅速に意思決定を重ねていかなければならない。稟議や根回しをしている時間はない。また全員が賛成した結論が正しい、ということは(経験則的に)ほとんどない。

起業家人材を「忍者」に例えて考える

組織の人材には、本業を任せると完璧に実行する管理者人材と、新規事業や未来創造が得意な起業家人材がある。オムロンの竹林一氏は、右利きの管理者人材を「武士」、左利きの起業家人材を「忍者」とわかりやすく例えている。

「武士」といっても戦国時代でなくて江戸時代の武士だ。

立派なお城に通い、主君に直接会う機会はほとんどなく、上司の命令に忠実に服従しなければならない。細かな礼儀作法が大切で、行事を滞りなく進める(成功する)のは当然。失敗をしたら切腹して詫びなければならない場面もある。

それに対して「忍者」は、主君の直下で、隠れてこそこそ動く。目立ってはいけない。敵地(新しい市場)を探り、大名(関係者)の間の提携とか、新しい作戦といった仕事を仕掛けていく。

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