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バリアフリートイレ問題、7割が「待たされた経験」 一般トイレに機能を分散「誰もが使える場所」に

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  • 加藤 篤 日本トイレ研究所代表理事
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本来であればすべてのトイレをバリアフリーにすべきだと思うのですが、実現は容易でないため機能分散の取り組みには期待したいところです。

しかし、機能分散という考え方を現場のトイレごとに適応していくには、さまざまな検討が必要です。最適な配置を考えることはもちろんですが、どの場所にどのような機能が配置されているのかを利用者に伝える工夫も必要だからです。

一方的に分散しては迷子になってしまいます。また、そこにあるトイレだけで機能分散が完結できなければ、上下階や近場のトイレとの連携も必要になりますので、利用者への情報提供が肝になります。情報デザインや施設運営等も含めた関係者との連携が求められます。トイレの設計方法もアップデートが必要です。

70点トイレに込められた思い

これまで日本のトイレは、100点満点を追い求めてきたように感じます。これは素晴らしい姿勢です。ですが、多様なニーズをすべて完璧に満たすことは現実的ではありません。ニーズ自体も時代とともに変わっていきます。

このようなことを踏まえると、状況に応じてフレキシブルに変化・改善しやすい設計が必要ではないでしょうか。竣工時が完成ではなく、簡易に改修できる構造であったり、段階的に改修することを前提とした設計にすることで、改善し続ける仕組みです。

以前、車いすアスリートの方が「100点ではなく70点トイレが必要」とおっしゃっていたことを思い出しました。

私なりに解釈すると、障害の違いやニーズの違いによってかならず使いづらさが生まれるので、1人ひとりが少しずつゆずりあいの気持ちを共有することが大事。少数のトイレで100点を目指すのではなく、すべてのトイレを70点以上にしよう、そのほうがやさしい社会になるというふうにも理解しました。

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この考え方はとても重要ですし、多様性社会の実現に求められている価値観だと思います。ゆずり合いの心を育むには、障害者や子連れ、トランスジェンダーなどのトイレニーズを共有することが前提になります。トイレや排泄に関することは話題にしづらい傾向がありますが、その壁を越えていく必要があります。

トイレ問題という視点だけでなく、人権を学ぶ貴重な機会になりますので、すべての小中学校の教育課程に組み込むことが必要ではないでしょうか。これからの社会について話し合うきっかけになればありがたいです。

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