中居正広の復帰が日本中を笑顔にする3つの理由 なぜ“死"“ヤバイ"という言葉を使ったのか

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実際この半年間、さまざまな臆測交じりの記事が報じられるたびに、「臆測で書くなんて無責任なことはやめてください!」「プライバシーの侵害」「(記者の)人間性を疑う」などと抗議の声をあげる人が続出していました。これは中居さんがスターとして人々を楽しませ、ファンやスタッフを大切にしてきたほか、東北や熊本への震災復興支援、コロナ禍の医療従事者支援などを行い、しかも「自分からは言わない」という姿を見てきたからでしょう。

明るくブラックジョークを繰り出す姿、人々に心配をかけまいとするこれまでの配慮、功績と人柄へのリスペクト。この3点があるからこそ、まだまだ体調への心配はあっても、元気いっぱいの姿を見せた今回の全面復帰は、日本中の人々を笑顔にするものだったのです。

芸能人のプライバシーを守る姿勢

そして、中居さんの全面復帰を喜んでいるのは芸能人たちも同様。前述したように、「芸能人はどんなことでも情報開示するのが当然」とみなされがちな中、中居さんは約半年間にわたって「詳細は語らない」という姿勢を貫きました。「そんな中居さんの姿勢から勇気をもらった」という芸能人は少なくないでしょう。

事実、冠婚葬祭などだけでなく、闘病の日々をオープンにする芸能人が増えました。もちろん、同じ病気に苦しむ当事者や家族などの励みや参考になるところはあるでしょう。

しかし、心身の負担から「オープンにしない」という自由もあってしかるべきだけに、世間の風潮や静かな圧力に迎合しない中居さんの姿勢は「芸能人にもプライバシーがある」ことを体現していたのです。中居さんにその自覚があるかはわかりませんが、今後、芸能人たちが「詳細を明かさない」という選択肢を採りやすくなったのは間違いないでしょう。

中居さんは14日の「キャスターな会」で、休養期間について「ヒマすぎちゃって、ずっと伸びたヒゲをさわってた」「いろいろとみなさん、ご迷惑とご心配をされた方も、僕調べですけど17、18人……今日からよろしくお願いいたします」などと話して笑いを誘っていました。

中居さんには無理して病状を話すより、このように笑わせてほしい。そう感じる人が今後ますます増えていくことが、臆測記事を減らす1つのきっかけになるのかもしれません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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