――テドロス事務局長へのビデオレターは、あなたを一躍有名にしました。
18歳まで、海外で勉強をするなど考えたこともなかったのですが、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)に選出されました。UWCは、各国から選ばれた学生がともに学ぶことで国際交流と平和を考える制度です。そのおかげで、オランダそしてスコットランドの大学で学ぶことができました。
市場から寮に戻ると、同級生たちから「台湾はテドロス事務局長を攻撃しているの?」と聞かれました。即座にそれは誤解だと思ったし、実際に事実ではなかった。
テドロス氏の発言で、世界各国120カ国から集まっている同級生たちに台湾が誤解を受けるのは残念だし、それを私が解かなければという使命感に背中を押されました。少し経ったら、父母から連絡が来て「あなたテレビニュースに出てるじゃない!」って。本当に、それほどの反応を期待していた訳ではありません。
1人きりの活動スタート
――イギリスでは、どうして公衆衛生を学ぼうと思ったのですか。
私は台湾東部の宜蘭出身です。当時の宜蘭には総合病院がなく、遠く離れた病院へ通う高齢者の苦労を見て育ちました。また、物心ついたころから医学や科学にも興味を持っていました。小学校に入学すると「国境なき医師団」に憧れ、医療に従事すること以上に人道支援に携わる仕事に興味をもちました。
伝染病を勉強する過程で気づいたのは、公衆衛生とは医学だけでなく、政策や経済、教育と深く関わっていることで、病院だけで行われるのが医療ではないということでした。またジェンダー的な社会構造のために、女性は身体や心理的な健康に多くの問題を抱えています。
それを解決したいと考えて、2019年に設立したのが非営利組織「小紅帽 With Red」です。始めたときはまったくの1人きりで、オフィスも資金もないゼロからのスタートでした。
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