世界唯一の「月経博物館」が台湾にできた理由 創設者であり、台湾の若きリーダーの1人ヴィヴィ・リン氏

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ナプキンなど生理用品をを送る準備中の小紅帽のメンバー(写真・小紅帽提供)

――この問題をいつから意識するようになりましたか。

留学中のことです。最初に意識したのは物質的な「生理の貧困」よりも、むしろ「知識の貧困」でした。オランダで勉強していた時期がちょうどシリア内戦のため難民が急増していたヨーロッパ難民危機のころで、難民支援のボランティアに参加しました。

そのとき大量の支援物資、例えば乳児用の紙おむつや粉ミルクは山ほどあるのに、生理用品は必要数の半分ぐらいしかなく、まったく足りていないことを目の当たりにしました。

日本でも、東日本大震災の際に生理用品が不足したと聞いています。日常生活で絶対に需要のある物資にもかかわらず、生理用品は人々の意識から抜け落ちていました。

当時オランダやイギリス、アフリカでそうした月経についての問題はすでに認識されており、活動している団体もありました。でも台湾には1つもない。台湾では月経に関するあらゆる情報がほとんどないことがわかった。政府をはじめこの問題を誰も認識しておらず、調査も行われてこなかったのです。

台湾全国650人に生理用品を提供

――今の具体的な活動は何ですか。

現在、私たちは台湾の離島も含めてすべての県や市において合計約650人の青少年に毎日、生理用品を提供しています。地方ほど経済格差が大きく需要が大きいと思われるかもしれませんが、実は割合でいえば台北市や新北市のような都市部ほど必要としている人がいます。

物資だけでなく、教育も活動の大事な要素です。小・中・高・大学と教育段階に合わせた授業を行ったり、特別クラスを開講したり。授業に使用する教科書や教材は私たちが自分で制作し、現在100校以上で使われています。学校の先生向けクラスも開設しています。受講者には女性の教員のみならず、男性の教員もいます。

――私が日本の学生のときは女子生徒だけが体育館に集められ、生理や妊娠についてのビデオを見せられ、「どうして男子は学ばないのだろう?」と疑問に思っていました。

私のときもそうでした! そして台湾では、いまだにそれが主流です。まさに私たちが変えたいと考えている教育意識の1つです。台湾の教育はこんなにも変化し、性教育なども改善されているにもかかわらず、女性の生理についてはまったく変わっていません。

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