「アイデアが出ない」悩む人が知らない新・発想力 勉強したくなる「付箋」「勉強袋」が生まれた背景

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まずは、絵筆の特徴である「毛先が染まっていく」現象と似たモチーフを考えてみたところ、「髪の毛が染まっていく」現象に近いと考えました。そしてただ染まるだけではつまらないので、「髪を染める」ことがプラスになるモチーフをさらに考えてみました。

そこで思いついたのが、染めるほどキマっていく「パンクヘアー」というモチーフです。使うほどに筆の毛先についていく「色」を、「パンクヘアーの色」に見立ててみました。くわえて、筆がよりパンクヘアーに見えるように、「ヘビメタメイク」のデザインも施しました。

このアイデアの価値は、ただ見た目がかわいくなるだけでなく、使うたびにむしろ鮮やかに変化していく印象になることです。それにより使っていて、とても楽しい気持ちになります。汚れることに抵抗を感じなくなるので、使用時のストレスも減り、大きなメリットがあると感じました。

宿題がやりたくなる「宿題袋」

次に紹介するのは、「宿題袋」です。これは「機能」を見立てたアイデアです。

宿題袋
(出典:『「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた』より)

「宿題をやりたくない」「勉強したくない」。これは誰もが子どもの頃に経験したことであり、共感する課題の1つといえます。これを解決し、勉強に対する子どものやる気を上げられないか考えたことが、「宿題袋」が生まれたきっかけになりました。したがって、ここでもアプローチは「課題を解決する」です。

まず、課題に対しての解決策を考えます。「宿題をやらない」という課題の解決策は、「やらなきゃ!」と思わせることです。そこで、「〇〇やらなきゃ」と同じ感情にさせてくれる「機能」を持つものを探してみようと考えました。

そこで連想されたのが「お薬飲まなきゃ!」という状況でした。宿題は忘れるのに、薬は「飲まなきゃ!」と思えるのは、薬が入っている「お薬袋」が、「薬を飲まなきゃ!」という気持ちをつくる機能を持っているのではないかと考えました。

そこで、お薬袋が持つその機能を見立てて、やらなければいけない宿題が入った「宿題袋」というアイデアが生まれました。

そして、より使命感をあおるために「先生から手渡す」というシチュエーションも付加価値として考えました。薬を飲むもう1つの理由として、医者から手渡される緊張感が薬を飲むことの使命感を高めていると感じたためです。さらに、お薬袋に「食前・食後」「1日3回」と記載されているように、宿題袋にも「国語・算数」「1日60分」などと記載することで、より義務感を高められるとも考えました。

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