2022年音楽チャート「残響散歌」が制覇した理由 紅白にも出場、アニメとヒットの強い方程式

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ビルボードの高嶋直子編集長はこう1年を振り返る。「ダンス系よりも歌中心の楽曲が売れた傾向があった。タイアップに加えてTikTok、オーディション系など、ヒットの種類は一段と多様化している」。

続く2023年のヒットはどうなるのか。ビルボード事業本部上席部長の礒﨑誠二氏はアニメタイアップからの飛躍に注目する。

アニメタイアップ曲には引き続き期待

「ネットフリックスなど、世界で同時に作品が見られるようになったことは大きい。中でもコンテンツがうまくいっているのはアニメで、世界を目指すチャンスが拡大している。ストリーミングによって海外の人も日本の楽曲を聴けるし、有力な事務所でなくても売れるチャンスがある」(礒﨑氏)。

実際、Adoの新時代はワンピースの人気とともに、Apple Musicのデイリーチャートで1位にランクイン、各国のチャートにもランクインするなど世界に存在をアピールした。アニメと協力できる点は日本の音楽シーンの強みのひとつだろう。

現時点で2023年のチャートに影響しそうなのは、Official髭男dism「Subtitle」(2022年27位)と米津玄師「KICK BACK」(同30位)の争いだ。両者ともタイアップの楽曲で、足元でもハイレベルな戦いが続いている。年間チャートでも上位進出が見込まれる。

また、2023年チャートからは、ルックアップ(パソコンによるCD音源の取り込み)の指標がデータ提供元の事情から廃止。ツイッターも廃止となる。ツイッターは熱心なファンによる意図的なツイートが原因の一つだった。「総合チャートに与える影響はさほど大きくない」(礒﨑氏)としているが、この変更には注目したい。

国内の音楽シーンはようやく、コロナ禍から立ち上がりつつある。アーティストのライブや音楽フェスも徐々に復活し、外国人アーティストの来日も決まるなど、正常化が進みつつある。

TikTok経由のヒットは依然として多く、アニメなどのタイアップも存在感を増している。フェス発のヒットも生まれるだろう。多様化、複雑化するヒットの流れを読み、どうファンに訴えかけるか。2023年も激しい戦いが繰り広げられそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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