科学技術が進化しても、宗教はなくならない理由 神に人間が服従するのは理不尽な幻想なのか

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なぜ宗教はなくならないのでしょうか(写真:Graphs/PIXTA)
自分は無宗教で、信仰はない、と思っている日本人は多いかもしれないが、現在の日本では宗教2世問題など、宗教によって救われるどころか苦しんでいる人も数多くいることが浮き彫りになっている。
科学技術が進化しても、宗教はなくなるどころか、我々の世界に深く入り込んでいる。
「世界最高の知の巨人たちが考えた思考の型が1フレーズですっきりわかる」をコンセプトに執筆された『哲学100の基本』を上梓した著者が、なぜ宗教はなくならないのか、という根源的な問いについて、哲学者がどう考えてきたか、また信じるとは何か、という視点を交えて語る。
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およそ100年前には、科学技術の発展によって、宗教はやがて消滅するだろう、と考えられていました。

ところが、現在では、宗教の力は衰えるどころか、世界の各所でいっそう荒々しい力を発揮しています。今日、宗教のリバイバルを語る哲学者も、少なくありません。この理由は、いったいどこにあるのでしょうか。

もちろん、宗教といっても多様なものがあり、同じ宗教でも地域によって状況は異なります。

そのため、一概に決めつけることはできませんが、宗教という現象が消滅してしまうことはなさそうです。その根拠を探るために、宗教の基本にある「信じる」という態度にさかのぼって、考え直してみましょう。

「信じる」とはどういうことか

あらためて注意するまでもありませんが、英語で「信じる」を意味する言葉(believe)は、訳すとき場面に応じて変化します。たとえば、宗教の場面では「信仰」と言いますが、政治や道徳のような実践的な問題では、「信念」となります。「信念にもとづく行動」といえば、崇高な響きをもつかもしれません。

しかし、そもそもこの言葉は、特定の分野だけにかかわるわけではありません。人間活動のどんな領域にも、「信じる」ことが働いているからです。そのときには、短く「信」と呼ぶことが一般的です。

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