科学技術が進化しても、宗教はなくならない理由 神に人間が服従するのは理不尽な幻想なのか
およそ100年前には、科学技術の発展によって、宗教はやがて消滅するだろう、と考えられていました。
ところが、現在では、宗教の力は衰えるどころか、世界の各所でいっそう荒々しい力を発揮しています。今日、宗教のリバイバルを語る哲学者も、少なくありません。この理由は、いったいどこにあるのでしょうか。
もちろん、宗教といっても多様なものがあり、同じ宗教でも地域によって状況は異なります。
そのため、一概に決めつけることはできませんが、宗教という現象が消滅してしまうことはなさそうです。その根拠を探るために、宗教の基本にある「信じる」という態度にさかのぼって、考え直してみましょう。
「信じる」とはどういうことか
あらためて注意するまでもありませんが、英語で「信じる」を意味する言葉(believe)は、訳すとき場面に応じて変化します。たとえば、宗教の場面では「信仰」と言いますが、政治や道徳のような実践的な問題では、「信念」となります。「信念にもとづく行動」といえば、崇高な響きをもつかもしれません。
しかし、そもそもこの言葉は、特定の分野だけにかかわるわけではありません。人間活動のどんな領域にも、「信じる」ことが働いているからです。そのときには、短く「信」と呼ぶことが一般的です。
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