このクセがあるから、マジシャンという職業が成立します。1つのことに注意を引き寄せて、けむに巻く。人間の注意力には限界があるということです。
同じように、内なる声や、抱えている感情に脳が支配されてしまうと、他に気が回らなくなり、多大なミスが起きてしまいます。それを書いたのが、本書『チャッター』です。
内なる声は、すべて悪いものだとはいえません。自分の声に集中しなければいけないときもありますし、「お前ならできる」というような、良いチャッターによって自信を持つ場合もあるでしょう。
チャッターを「リスク」と置き換えることもできます。成功している人には、リスク管理能力があります。内なる声をたくさん聞いていて、湧き上がる不安や心配を尊重し、それに対処しているのです。
「株価が下がったらどうしよう」「資金繰りはうまくいくだろうか」。その声を1つひとつ潰していく。その方法は、本書に書かれている方法かもしれませんし、その人オリジナルの方法かもしれません。
心配事に支配されてしまうと、「成功しない心配性の人」になってしまいますが、心配することそのものは悪いことではありません。コントロールすることが大事なのです。
ネガティブシンキングこそ最強思考
僕はむしろ、ポジティブシンキングは怖いもので、ネガティブシンキングこそが最強だと考えています。
ポジティブシンキングは、問題点が起きると、そこにフタをしてしまうタイプの考え方ですから、また同じトラブルに巻き込まれがちです。
一方、ネガティブシンキングは、問題点を見ることのできる思考力ともいえます。問題が起きても、それに立ち向かう勇気さえ持てばいいのです。
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