就職活動「ガクチカ難民」たちのかくも深き悩み いまだに「アルバイト」をアピールするわけ

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私は『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の中で、現在の大学生たちが年々「いい子症候群化」していると解説している。ここで言ういい子症候群とは、目立ちたくない、人前でほめられたくない、自分で決めたくない、変なことを言って浮いたらどうしよう、といつも考えているような若者のことだ。

私の専門はイノベーション論であり、イノベーターの最も重要な気質とも言える、チャレンジ精神や主体性などについても研究している。そして、彼らのデータを集めれば集めるほど、それとは真逆にあるような気質、例えば回避動機が強く、指示待ちしたがる若者たちの姿が浮き彫りになってきた。

最近では1dayのWEB形式が増えたとはいえ、やはりブランド力のある人気企業のインターンシップに参加するには、まず複数回の選考を突破する必要がある。とにかく横並びでいたい学生たちは、「皆が受けるなら」と、これらのランキング上位企業にますます群がる構造となっている。ちょうど、行列を見ると並びたくなる人たちと同じだ。

が、ここで直面する難敵が、「自身の差別化とアピール」である。

「目立たないこと」「浮かないこと」前提の学生たちは、同級生の間で「伝説」を作るようなことはもちろんなく、大学でお膳立てされた〝受け身のアクティブ・ラーニングや自主的課外活動〟をこなす学生生活を送ってきた。当然、企業の目を引くようなガクチカを作れるはずもなく、焦る。

目立つことはしたくないし、マスから外れるようなことは絶対しないけど、インターンシップの面接では必ずガクチカが問われ、ほんの少し差別化しなければならない。

まさにいい子症候群の若者たち最大のジレンマがここにある。

「ちょうどいい感じ」に差別化したい

他方、企業はガクチカ、あるいはガクチカに関連する質問を通して、目の前の学生の価値観や考え方、物事への取り組み方、課題解決に対する姿勢、それを簡潔に伝える力、そして自社との相性などをチェックしていく。そして今の大学生は、当然そのことを知っている。

したがって、面接で好印象を残すためには、ちょうどいい感じの差別化されたストーリーが欲しいところだ。

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