新婚52歳夫に200万円貸す妻が語る「幸福な生活」 成熟した大人になって芽生える価値観

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趣味の世界に生きているような健二さんと愛情と生活力に溢れた亜紀さん。今のところは良きパートナーでいる。独身時代はおにぎりとラーメンで太ってしまっていた健二さんは、亜紀さんの手料理で健康的になって15キロ減。彼が美味しそうに食べる姿を見るのが嬉しくて自分も同じように食べていたら亜紀さんの体重は15キロ増えてしまった。

「友だちからは質量保存の法則だね、と笑われています」

生活全般は亜紀さんが完全に主導権を握っている。住んでいるのは亜紀さんが購入した持ち家。食費も旅行代も亜紀さんが出している。その他、健二さんにはパソコンや携帯電話の買い替え代、取材旅行費などとして200万円近く貸しているという。

「彼の両親は他界しています。誰も住まなくなった実家は売りに出し、お兄さんと相続分割をする手続き中です。そのお金で私からの借金はきっちり返してもらいます!」

9歳上の健二さんには生命保険もかけていて、彼が先に他界したら1000万円が亜紀さんのものになる。「いい投資です」と笑いつつ、亜紀さんは惚れた弱みを隠せない。

「大きな子どもができたようなもの」

「毎日が楽しいです。私の趣味は彼を観察して写真を撮ること。特に、スポーツで鍛えたブリッとしたお尻が好きです。撮るだけでなく、毎日触っています。彼はすごく嫌がっていますけど」

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健二さんも何もしないわけではない。亜紀さんが指示した家事は素直にこなし、肩をもんでくれたり重い物を持ってくれたりする。お好み焼き、カレー、餃子などの決まったメニューは健二さんが作ったほうが美味しい。亜紀さんはそれで十分なのだ。

「この歳になったら、結婚相手にはやすらぎしか求めません。彼は私の親が反対しそうなこと、例えば海外事業への投資や出張、転職なども『いいんじゃないの』と肯定してくれます」

本当は子どもが欲しかったと明かす亜紀さん。しかし、もともと結婚願望すらなかった健二さんは「経済的に責任が持てない」と明確に拒否。亜紀さんも今では諦めて、「大きな子どもができたようなもの」だと健二さんをますます可愛がっている。

いま、亜紀さんには仕事以外で目標ができた。健二さんの残りの人生に「面白さ」を提供し続けることだ。例えば、海外経験がほとんどない健二さんをいろんなところに連れて行きたい。亜紀さんが60歳になったら、東南アジアの農場で一緒に住むという構想も立てている。

成熟した大人になると何かを育てたり可愛がったりしたくなる。自分のことだけに精一杯だった若い頃とは心境が変わってくるのだ。多くの場合は可愛がる対象は我が子だけど、誰もが子どもを作れるわけではない。年上の配偶者を慈しみながらその余生を見届けるという道もあることを亜紀さんが示している。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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