奨学金の「延滞問題」は1960年代から始まっていた 育英会が職場に「集金Gメン」を派遣したことも

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ニュースでも報じられることの多い、奨学金の延滞。過去の報道を紐解いていくと、この問題が報じられ始めたのは1960年代の頃だったようです(写真:mon/PIXTA)
これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。しかし、さまざまな要素が絡まっている以上、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しく、また「借りない」ことがつねに最適解とも言えない。そこで「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で幅広い当事者に取材。高校生が今後の人生の参考にできるようなリアルな事例を積み重ねていく……。
そんな想いで始まった連載「奨学金借りたら人生こうなった」が『奨学金、借りたら人生こうなった』として書籍化された。本稿では書き下ろしの1つである「奨学金報道変遷」から一部抜粋・加筆して前後編でお届けする。(前編はこちら

なにかと批判の的になりやすい、日本の奨学金制度。その理由の1つが、奨学金を返せずに苦しむ人の存在だろう。

奨学金借りたら人生こうなった
画像をクリックすると本連載の記事一覧にジャンプします

奨学金の延滞率は1.3%程度とされ、学校ごとに延滞率は、日本学生支援機構(JASSO)によって公開されている。気になる人は、「学校毎の貸与及び返還に関する情報(日本学生支援機構奨学金)」で母校の数値を調べてみてほしい。

さて、この奨学金の延滞だが、なにもつい最近始まったわけではないことをご存知だろうか。

1960年代・奨学金の「延滞問題」が報じられ始める

50年代から60年代の奨学金に関する記事を読む限り、近年インターネットを中心に幅を利かせている「奨学金地獄」報道の片鱗が出始めていることがうかがえる。というのも、アルバイトに明け暮れる学生に同情したり、卒業後に毎月7000円も引かれるのは大変だ、というトーンの記事ばかりだからだ。

それでも、「学生の数が多いから、育英会も貸与型も悪いわけではない」という論調でもあった。

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