ほかには、今でも看護師など医療従事者向けに奨学金を借りても卒業後に指定の病院で働けば、奨学金の返済が免除される修学資金制度があるが、この当時は教職員や研究職など、特定の職業に就くと返済が免除されたり、返済完了までの一定期間内に残額を一括返済すると「報奨金」が支払われるたりということもあった。
ちなみに、この記事では各私立大学の給付型と貸与型の奨学金を、表にまとめて紹介しているが、それにしても年間3万円から、最高でも給付型奨学金で年間10万程度である。今とは物価が大きく異なるものの、それでも正直安すぎるとしか思えない。
学費高騰で進学ローンが台頭、しかし利率は…
さらに、『週刊サンケイ』(産業経済新聞社/1978年2月9日号)の「父兄のための入試対策 借りなきゃ損といわれる奨学金から進学ローンまでのすべて」では、銀行から借りる「進学ローン」が奨学金の代わりとして紹介されている。
当時は住宅ローン、消費者ローン、のれん分けローンなどが台頭し始めていた時期のようで、進学ローンは「学費高騰で借金をしなければならないような人たちが多くなってきた」ことにより、出現したとされている。
この頃は物価の上昇も相まってか、奨学金の貸与月額は1万5000円~1万7000円と、2000円の時代から一気に高騰。ただ、「それにしても、月1万6000円前後では授業料にもならない(国立は別だが)」らしく、当時の日本育英会の広報部長も「ほんとうにお困りの方が奨学金を受けて学校を出るのは、今の制度では難しいのは確かですね」と匙を投げる始末だった。
ただ、この当時の学生の一般的な学費と生活を合算した学生生活費の平均額は4年制大学で74万円だったようなので、やっぱり今と比べると安さの次元が違うように感じてしまう。
そこから、この記事では1978年から登場した進学ローンを有効活用すべし、という方向に話は転がるのだが、その額は急に現代的になり、数百万円の借り入れを推奨している。
この当時の日本育英会の奨学金の金利は記事を読む限りは不明だが、銀行の進学ローンは7.5~8.9%と、現在の第二種奨学金(有利子)の0.3%と比べると、とてつもなく高い。ただ、この頃は現在でいうところの無利子の第一種しかなかったため、第一種の審査が通らなかったものに活用されたと思われる。
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