「関西人はベビーカステラが好き」を検証してみた 冬の「屋台名物」はどこが発祥の地なのか

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もともと地元密着型の菓子だったこともあって、店によって味が違うというのもベビーカステラの特徴だろうか。

たとえば加島の玉子焼は、「うちは初代から代々続く配合を守っている。火加減も大事。フワッとしていて、冷めてから本当の味がわかる」(繁治さん)。一方、三宝屋は「祖父の時代から、昔の味のままで甘みは抑え気味。隠し味にしょうゆを使っている。福玉焼はみそを入れているとも聞いたし、それぞれの店にこだわりがある」(高瀬さん)。

もともと各地に似たようなカステラ菓子があった

発祥については諸説あるかもしれないが、関西でベビーカステラ屋が定着したのは、もともと各地に似たようなカステラ菓子があったからではないか。そうしたカステラ菓子を売り出したのは、せんべい屋である。

三宝屋が作った「回機」。「父親(繁治さん)が小さいころからあったとのことなので、75年以上の前のものになります」(写真:加島の玉子焼提供)

神戸煎餅協会によると、関西スタイルのせんべい「瓦せんべい」は1868年の神戸港開港により、洋風イメージの新しい菓子として誕生。湊川神社の土産物になり、神戸の名産品として定着した。瓦せんべい屋が野球カステラを売り、屋台ではベビーカステラが誕生。柔らかめでほの甘いお菓子が愛されるようになった。

一方、関東では草加せんべいが代表するコメが主原料のパリパリでしょっぱいせんべいが定着している。パリッとした食感や外が固いなどメリハリが利いた食べ物は関東で好まれ、柔らかめでほの甘い菓子は関西で好まれる傾向がある。ベビーカステラは、いかにも関西人好みのおやつと言える。

ベビーカステラについて問い合わせていると、やり取りをしたうち何人かが「ベビーカステラの口になってきました。買いに行ってきます」と言い出した。やはり関西人はベビーカステラが身近で好きなのではないだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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