「関西人はベビーカステラが好き」を検証してみた 冬の「屋台名物」はどこが発祥の地なのか
野球カステラは、グローブやバットの形をしたベビーカステラに似た菓子だ。100年以上前に神戸市内で誕生したとされ、神戸市を中心に関西各地のせんべい店などが作ってきた。せんべい屋がカステラ系のお菓子を作るのは、関西のせんべいは小麦粉生地のものが中心で材料が共通しているからだろう。
ちなみに、カステラとスポンジ生地の違いは、バターを使うかどうかで、カステラは使わない。バターは幕末の開国と共に入ってきたが、少なくとも明治前半までは、「くさい」と嫌われていた。だから、この手の菓子でバターを使うか否かは重要なポイントである。
カステラ系のおやつは、江戸時代には出現している。江戸時代後期発祥説がある今川焼きがその1つ。関西では回転焼き、大判焼きと呼ばれるなど地域によって名前が異なり、全国にある。
昔の日本人はひんぱんに何かを食べていた
少し客観的な意見が欲しい、と2019年秋に転勤で東京から京都市内へ移り住んだ、会社員の間島英之さんに聞くと、「こっちはベビーカステラの専門店が本当に多いです」と話す。
「そもそも関西人は、お菓子好きなのではないでしょうか。京都や大阪のデパ地下は、お菓子売り場が入り口近くの目立つところにある。高島屋の地下は、東京の倍ぐらいあるように感じます。回転焼きの御座候、おだんごとかおやつっぽいものも目立ちますよ」。
やはり、関西人はおやつを愛好するのか。民俗学者たちは、昔の日本人はひんぱんに何かを食べていた、とよく言うが、そうした感覚が関西には残っているのかもしれない。そして、特に明治以降の洋風化の中で、卵や小麦粉を使うカステラ系の菓子が洋風おやつとして広がった。
ベビーカステラの発祥について詳しい文献や有識者が見当たらないことから、ヒアリングを重ねていくうちに、兵庫県に「老舗」と呼ばれる店が多くあることがわかった。そこで、こうした店に発祥をたずねてみることにした。
まず話を聞いたのは、神戸市長田区で4代続く「加島の玉子焼」のオーナーと先代である。3代目の加島繁治さんによると、同店は100年近く前からベビーカステラを売っていた。
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