剣持さんらは脳死とされうる人が出たときに電話などで指示するだけでなく、医師や検査技師などのチームを派遣して、脳死判定のサポートや家族へのインフォームドコンセントを行ったり、手術室に入って提供手術も手伝ったりしている。
必要に応じて、機材を貸し出すこともあるそうだ。また定期的に研修会や勉強会を開いて、移植に対する知識を深める機会や、実際にシミュレーションをしてイメージをつかんでもらう機会を作っている。
連携することで、幹部の考え方も前向きに
連携から3年。こうした努力が徐々に実を結び、すべての施設で計7例の脳死ドナーを出したという。剣持さんが言う。
「これまでやったことのない施設がドナーを出す。病院にとってみたら、たいへんなストレスです。そこをわれわれが少しでもサポートすることで、実際にドナーを出すことができた。また、臓器提供を経験することで、実際に関わった医療者だけでなく、連携施設の幹部の考え方も前向きになっています。こうした取り組みは重要だと感じています」
25年以上にわたって子どもの心臓移植に関わり、臓器移植法やその改定に尽力してきた福嶌さん。「心臓って移植をすると、その子の大きさになるんですよ」と穏やかに話す。海外留学で最初に経験した心臓移植。手術を受けた子は現在も生存していて、福嶌さんの身長を超えたという。
「それが小児の心臓移植なんです。それだけ生きられるし、大人になる」
移植側だった福嶌さんは、これからの人生をドナー家族の支援に充てたいと話す。
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