なぜ巨費でも米国へ?「臓器移植」日本で進まぬ訳 1歳女児の心臓移植では5億3000万円の募金

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5億円の移植費用が話題になった3カ月ほど前。小さく報じられたニュースが2つある。

<愛知県内の病院に入院していた6歳未満の男児が臓器移植法に基づく脳死と判定。心臓と腎臓、肝臓が移植>
<西日本地方の病院で6歳未満の子どもが臓器移植法に基づく脳死と判定。心臓と腎臓を提供>

実は、欧米と比較すると、大人が脳死ドナーになる割合より子どもが脳死ドナーになる割合は高い。こと小児に関しては臓器提供が進みつつあるという。

「それだけ小児科医や小児救急を専門としている医師の意識が変わったということです。子どもが亡くなるのは悲しい。しかし、重症になって予後が不良であることは、きっちり親に伝えなければならないと、みんな考えるようになった。今も『死ぬなんていうことを伝えるのはかわいそう』という意見もありますが、助かる見込みのない子どもとどう最期を過ごすか。それを親が選ぶ、あるいは、その選択を尊重する時代になってきた」(福嶌さん)

そして、その際に提供の意思表示をする家族が出てきたということだ。

「私は無理」安易な言葉がドナー家族を傷つける

JOTのホームページには、脳死下でドナーになった人たちの情報があまねく紹介されている。シンプルな情報だが、そこには提供を選んだ人やドナー家族が存在しているという事実がある。先に挙げた子どもの2つのケースも、もちろん載っている。

あなたのまわりに、もし「家族がドナーになって臓器を提供した」と話す人がいたら、「私は無理」とか「考えられない」とか安易に言っていないだろうか。そうした言葉がドナー家族の心を傷つけることを知ってほしい。今回、取材した人たちは異口同音に言う。

「家族がドナーになったことをふつうに話せる社会に」

(3日目『割り切れる?「脳死→臓器提供」決断した家族の本音』)

山内 リカ 東洋経済オンライン 編集者
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