「死への不安」を和らげるがん患者に贈る言葉5つ こころのままに。mustではなくwantで行こう

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■人生を振り返り、その意味を考える■

多くの方は最期、「ありがとう」と言って、
亡くなっていかれます。
自分の人生を恨んだまま亡くなっていく方は、
不思議なほどいないものです。

人生のタイムリミットをリアルに突き付けられたなら、自分にとっての優先順位を考えるとともに、それまで取り組めなかったり、避けてきたりした人生の課題に向き合うことで、残された時間の過ごし方が変わってきます。

そして、人生最後の課題は、自分の人生を振り返り、その意味を考えること。その課題に取り組むなかで、人生そのものの見方が変わります。

■mustではなく、wantで行こう■

「こころのままに、行き当たりばったり」も
とてもよいと思います。
自分の心が何にわくわくするのか。
「want(~したい)」の声に耳を傾けてください。

『がん患者のこころをささえる言葉』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

もし、自分が今、窮屈だと感じているのなら、目的や時間の制限から少し離れてみましょう。もがいている自分のこころの声はなんと言っていますか? 私自身も「must(~しなければならない)」の自分へのささやかな反抗を開始した結果、自分のあるがままのこころを大切にするようになれました。

「ほんとうはやりたくないな」「めんどくさいなぁ」と思うことをやめていく。断っても影響が小さいところから、勇気を出して少しずつやってみると、こころが満たされる感覚が味わえます。そうすると、もっと積極的に変わっていきたいという気持ちが出てきます。

■医療者はあなたに救われている■

もし、家族に心配をかけたくない、
周りに話せる人がいないというときは、
どうぞ医療者を頼ってください。
がんと向き合っている患者さんや
そのご家族の力になれることが、
私達、がんを診る医療者の喜びです。

誰かの役に立てるということは、人に生きるためのエネルギーを与えてくれます。医療者はどんなに忙しくても、患者さんが「ありがとう」と言ってくれれば、また頑張ろうという気持ちになれるのです。

意外に思われるかもしれませんが、あなたが頼った医療者は、実はあなたに救われているのです。

清水氏のもとには、毎日さまざまな方が相談にこられます。お1人お1人の立場に身を置いて考えると、その大きなご苦労を思って、ため息が出ることも少なくないそうです。しかしやがて、がんに罹患された方はその人なりのやり方で現実と向き合い、それぞれの道を進んで行かれます。悲しさや悔しさの感情にふたをせず、吐き出して、前向きに生き抜いてほしいと、清水氏は願っています。
清水 研 精神科医、医学博士

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しみず けん / Ken Shimizu

がん研有明病院腫瘍精神科部長、精神科医、医学博士

1971年生まれ。金沢大学卒業後、内科研修、一般精神科研修を経て、2003年より国立がんセンター東病院精神腫瘍科レジデント。以降一貫してがん医療に携わり、対話した患者・家族は4000人を超える。2020年より現職。日本総合病院精神医学会専門医・指導医。日本精神神経学会専門医・指導医。著書に「もしも一年後、この世にいないとしたら(文響社)」、「がんで不安なあなたに読んでほしい(ビジネス社)」など。

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