「世の中は不条理」と考える人ほどプラス思考な訳 トップランナー3000人超への取材で見えたもの

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プロ野球選手として活躍し、引退後は名監督として名を馳せた人に取材したことがあります。プロ生活のスタートはテスト生。しかし、1年目で球団から解雇の話が出て、崖っぷちに立たされます。それでも努力は天才に勝ると信じていた彼は、人の2倍練習しました。努力は実を結び、輝かしい実績を残すことになりました。

彼は、こう言っていました。「まさかまさかがあるのが人生。自分の知らない自分は必ずいる」と。それを信じられるのは、誰あろう自分だけ、なのです。

たくさんの人に取材をする仕事を通じて、次第にわかったことがありました。そのひとつが、「世の中には、幸せになれない人がいる」ということです。

生まれつき不幸で、幸せを手に入れられない、という意味ではありません。目の前にある幸せを見ようとしない人が多いのです。周りから見ると実は案外、幸せな状況にある。にもかかわらず、本人は幸せではないと思い込んでいるのです。

言葉を換えれば、幸せを定義できていない。だから、あてどもなく“青い鳥”を探し続け、いつまで経っても幸せになれない、というわけです。

逆に、必ず幸せになれる人もいます。それは、自分でしっかり幸せが定義できている人です。自分はこうなれば幸せ。それが達成できれば、幸せと断言できる人です。そういう人は外からどう見えようが、誰が何と言おうが関係ありません。

毎日おいしいご飯が食べられるだけで幸せ、という人もいます。家族みんなで楽しく暮らせるだけで幸せ、という人もいる。週末の趣味の時間が何よりも幸せ、という人もいるし、仕事はとてもハードだけど充実感があって幸せ、という人もいます。

つまり、幸せは自分で決めるものなのです。誰かが「あなたは幸せだよ」と認定してくれるわけではありません。自分は幸せ、と自分で決められるか。これだけです。

すべてを決めているのは自分の意識

実はこれ、すべてにおいて言えることです。高視聴率を誇った夜のニュース番組でキャスターを務めた著名なアナウンサーに取材したとき、彼は言っていました。

『マインド・リセット 不安・不満・不可能をプラスに変える思考習慣』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします 

東京の渋谷という街を見て、バラ色に見えると言う人がいる一方で、薄汚くて暗い街だと言う人がいる。同じ街なのに、人によってまったく違う街になる。

同じことが起きても、それをポジティブに捉える人もいれば、ネガティブに捉えてしまう人もいる。そして、マイナスの意識で世の中や人生を見てしまう。だったら、自分でポジティブな物語を作ってしまったほうがいいと彼は言いました。

自分の人生を幸せな物語にしてしまうのです。きっとハッピーエンドになる、と強烈に意識する。意識は自分で操れるから。そしてそれが、自分を変えていくのです。

人生は、自分の意識がつくっている。もしかすると自分は、とんでもなく恵まれた環境の中にいるのかもしれない。そこに気づけるかどうかは、自分の意識次第なのです。(了)

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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