フードロスを生む「資本主義」を分解する人の挑戦 「おいしい」「うれしい」と思える仕組みを作る

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枝元なほみさん(撮影:朝日新聞出版 写真映像部 松永卓也)
ビッグイシューの共同代表を務めるほか、農業生産者のサポートや「夜のパン屋さん」「大人食堂」などフードロス×飢餓ゼロ運動に力を注いでいる料理研究家の枝元なほみさん。
枝元さんはこれまでの価値観のままで暮らしていては未来を食べ散らかすことになる、と危惧します。新刊『捨てない未来 キッチンから、ゆるく、おいしく、フードロスを打ち返す』では、神経質になることなく、食べることを含めた私たちの暮らしの「豊かさ」について、改めて考えてみることを提案しています。
料理研究家として、時には撮影のために家庭ならば2、3週間もつような食材を1日で使う仕事もあり、悩んできた枝元さん。だからこそ、フードロス問題をひとごとにせず、深く考え、行動しつづけています。
ここでは、枝元さんが、フードロスに対抗する取り組みをしている「鴨志田(かもしだ)農園」の鴨志田純(じゅん)さんと「ばんざい東あわじ」の本川誠(ほんかわ・まこと)さんを訪ね、そこで体験し、考え、感じたことを、本書から一部を抜粋・改変して紹介します。

コンポストが「おいしい」を返してくれる

東京都三鷹(みたか)市で無農薬・無化学肥料の野菜づくりを行っている鴨志田農園さんを訪ねました。三鷹の住宅街の中に、大きな手のひらで包まれたようにぽっかりと空の見える畑がありました。鴨志田農園CSAメンバーであり、今回の本を一緒につくっている保田(やすだ)さえ子さんが紹介してくれたのです。

「CSAっていったい何? 何だか秘密諜報組織みたいじゃないですかっ!」と興奮する私に、くふふと笑みを浮かべた保田さんが教えてくれたのが以下の内容です。クールでしょ。

鴨志田純さん(写真左)の畑を訪問。土から抜きたてのかぶを洗ってガブリ(撮影:保田さえ子氏)

鴨志田純さんは、三鷹市の鴨志田農園の6代目の農園主。2016年、ひょんな出会いからネパールを訪れた鴨志田さんは、現地の人たちの仕事づくりと農作物の質の向上を目的として、ごみ焼却施設を持たないネパールで生ごみを堆肥化するプロジェクトを立ち上げることになりました。

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