でも、きっと助ける。そのためには、治療してくれる病院を見つけなければならない。過去に白血病を経験し、患者支援団体で活動をしているたかこさんは、医療関係者の知り合いも少なくなかった。つてをたどり、病院を探した。
いくつかの病院にあたった結果、最終的に慶應義塾大学病院が受け入れてくれることになった。治療の可能性も検討してくれるという。
こうめいさんは、どうすることがみどりさんにとって最善なのか、判断することができなかった。本人の選択に委ねるしかなかった。
慶應義塾大学病院への転院
みどりさんは、「転院して治療を受けたい」と望んだ。それに、この痛みを何とかしてほしかった。痛みを抑える薬の点滴をされてはいたが、効果はあまり感じず、夜は痛みでろくに眠れていなかった。この病院では十分に痛みを抑えてもらえない。そう思っていた。
「転院するので、書類をお願いします」
たかこさんは、それまでの医療記録をすぐ提供してくれるよう、病院側に依頼した。病院側は突然の転院の申し出に戸惑いつつも、対応してくれた。
17日、みどりさんは、胃からの出血を補うため輸血を受けてから、こうめいさんのクルマで病院を出発した。慶應義塾大学病院に着いたのは午後6時すぎだった。
慶應義塾大学病院の救急入り口の前にクルマを止めると、みどりさんは用意されたストレッチャーに乗り、入り口すぐ脇の処置室に入っていった。
入院の手続きを終えたこうめいさんが処置室に行くと、みどりさんは車いすに乗り、点滴バッグをつけた状態だった。看護師が車いすを押した。点滴の中身は、痛みを抑えるためのモルヒネのようだった。
中には医師がいた。医師は、こうめいさんたちに「みどりさん、いままで痛みや息苦しさでつらかったですね」と言った。そして、「まずはつらさを抑えて、体の状態を整えて、また明日、相談しましょう」と話し、その場を去っていった。院外で別の仕事が待っているようだった。
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