ヒオカ:でもジェイミーは、そんなトラブルを抱える人にこそ使ってほしいと自ら起ち上げたイットコスメティックスの商品を宣伝するために、自分が抱える、顔が赤くなる皮膚疾患をさらしてテレビ番組に出演します。
通販の専門家たちからは、若くて肌の美しいモデルを使って商品をアピールすることが成功への唯一の方法だとアドバイスされますが、やっぱりそれはおかしいと考えたわけです。自分の信念を信じて行動し、結果を出してしまうんですよね。
私は今年、『死にそうだけど生きてます』(CCCメディアハウス)という本を出版しました。当初企画を持ち込んだ出版社からは、「これにお金を出したい人がいるとは思えません」と断られたことがありました。
私がnoteで書いた記事はバズったりしていましたが、まだ20代で無名の新人という立場でした。確かに業界の正攻法的に言えば、無理だとされることかもしれませんが、ならばこそやってみることでしか常識は変えられません。
そう考えて出版をあきらめなかったという自分の体験が、ジェイミーと重なりました。
安全圏を超えて挑戦した勲章
伊藤:ほかにもたくさん印象深い部分があるとのことですが、教えてください。
ヒオカ:アンチとの向き合い方について書いた、「アンチは混乱したサポーターにすぎない」という言葉ですね。
ジェイミーは、テレビに出たことで、賛否含めて膨大なネットの声に晒されるようになるのですが、私のようなライターにもそういうことがあります。
特に、自身の記事がヤフーで配信されると、100%叩かれてしまいます。内容を曲解されるし、「大卒なのになんでフリーランスのライターなんかやってるんだ」と言われたりします。
悪い声でも、ないよりはいい
でも、人の目に触れるということは、いろんな感情を引き出します。ライターにとっては、いい声も悪い声もない、無風状態がいちばんダメなんです。書いたものへの反応が何もないということですから。
安全圏にいて、何もしなければ何も言われません。ジェイミーは、自分の安住できる場所を超えて挑戦しようとしているからこそ、いろんな声があるし、傷つくことも言われる、でもそれは、自分が挑戦している勲章だと思ったほうがいいと言っています。