こういう状態のままでは、問題は解決しない。まず何が解決すべき課題(イシュー)かを考え、何が問題になっているかを明確にし、そのために必要な要素を分析し、組み立て、状況を認識したうえで、基本方針を定め、具体策を立案していかなければいけない。
しかし、おたまじゃくしがうごめいている頭の中だけで悩んでいても整理されない。だから、口に出して話していくのだ。相手(リーダー)と話す中で、おたまじゃくしがまとまった主張になっていく。そう簡単にはまとまらないかもしれないが、人に理解してもらおうと話す中で、何を話して、何は話さないで、という取捨選択により、最初の整理がされる。
あなたにも、「人に悩みをうちあけ、たくさん話していたら、いつのまにか方向が見えてきた」という経験はないだろうか。まさにそれだ。話すだけで、頭の中は自然と整理される。だからたくさん話してもらうのだ。
たくさん話してもらうための下準備
では、たくさん話してもらうためにどうしたらよいか。まずは、そもそもの人間関係をつくっておくことが不可欠だ。
例えば、会議室に入って、次のような調子だとどうだろうか。
「では1on1を始めましょう」「はい」
「最近の調子はいかがですか」「別にどうということはありません。普通です」
「困ったことなど起きていませんか」「特にありません」
いやいや、こんなやりとりにはならないだろう、と思うだろうか。
僕がさまざまなところで1on1のレクチャーをする中でよく出てくる質問の一番は、「1on1をしても、『別に』という返答がくるだけで話が進まず、困っています」というものだ。こういうケースが本当に多いようだ。
これでは、1on1をしている時間がお互いに無駄に終わってしまう。だが、1on1の最中にこれを解決するのは至難の業だ。「きちんと話をし、聞く」という人間関係ができていないのは、1on1をする以前の問題だ。
この「別に」問題を解決するには、普段の職場でしっかりと人間関係を構築しておくに限る。1on1をするために必要な人間関係というのは、「お互いにお互いの存在を認め合い、話し、聞くことを厭わない関係」という感じだ。この関係ができていないのに、1on1のときだけ話せるはずはないだろう。
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