若者が「強い"敗者"意識」に囚われている残念な訳 合計11浪の2人「笑われても"高望み"受験を!」

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西岡:そういう人が多い学校や大学には、「そもそも勉強しなくていい」という空気があったりもします。授業を真面目に受ける空間ではありません。

西岡 壱誠(にしおか いっせい)/現役東大生・ドラゴン桜2編集担当。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった(撮影:尾形文繁)

そうなると、学校が出すテストや宿題も、そういう子たちに合わせてレベルを下げざるを得ない。高いレベルの問題を出しても、「これを解いてやろう」と思わないんです。つまり、「モチベーション格差」です。

逆に、超進学校と呼ばれるような偏差値帯の高い学校に行くと、中学1年生に東大の入試問題を出題しても、「解こう」と思って必死になります。もちろん解けないんですけど、「できないだろうな」と思ってはじめから挑戦しない、という子はほとんどいないんですよね。

濱井:私自身、地元の田舎にいたときは、勉強する環境にありませんでした。

一般的に知られている格差は、教育、経済、所得格差ですが、モチベーションの格差は盲点だと思います。それは、学校、親など大人の作っている環境なんですよね。

モチベーションが低いと、学力が高いことをよく思いません。僕の地元には、反知性的な空気さえありました。勉強している子はいじめられていましたから、そのなかで意思を貫くのは並大抵ではありません

西岡:貫いてほしいですけどね。そういう子が数人いれば、派閥になっていける。ただ、そのムーブメントすら起きていないんです。それを僕たちが起こしていきたいと思って、活動しているわけです。

濱井:地方では、モチベーション格差によってうまくいかなくなっていることに、学校自体が気づいていないケースがありますね。

西岡「このままでいいんだ」という感覚が、親にも先生にもありますね。正直な話、「教育して成績を上げると、若者が出ていくので困る」と考えている地域もあります。

かつての日本なら、それでもよかったのかもしれません。でも、変革が求められる今の時代において、「この環境でいい」と思い込むことは、かなりマズイはずです。

「自分の意見」を言えるのはとてもすごいこと

西岡: いまの生徒たちは、まじめに授業を聞いている割に、手は上げません

僕が高校生だった7年前は、「授業なんて聞くもんか」という態度の子もいましたし、聞いている子は手ぐらいは上げていました。でも今の子は、ちゃんと話を聞いていて、そのうえで何も反応しません。今は、プラスにもマイナスにも、とにかくエネルギーがない印象です。

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