サイゼ「値上げせずジリ貧」と思う人に欠けた視点 大盛販売終了を同社の経営・歴史から見ると…

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大盛スパゲッティ販売終了が話題のサイゼリヤ。昨今の状況もあり「値上げ」に関連したつぶやきをする人が多く見られますが、サイゼリヤは「品質の安定が困難」と説明。ビジネスモデルや昨今の販売終了の歴史から紐解きます(撮影:尾形文繁)

イタリアンレストラン「サイゼリヤ」が2022年12月14日にグランドメニューを改定した。これに伴い、その前日をもって「大盛スパゲッティ」「おこさまスパゲッティ」各種の販売が終了となった。

これまで大盛は通常商品のオプションとして、200円以下(商品によって変動)で提供されていた。サイゼリヤは今回、理由を「品質の安定が困難なため」と説明しているが、ネットユーザーの中には、物価高や円安を理由とした昨今の価格改定ラッシュを受けて、「値上げできないからって販売終了にしなくても」「値上げしてでも残してほしかった」と、値上げに関連したツイートをする人が多く見られる。

サイゼリヤ
冬のグランドメニュー改定が12日に発表された(出所:サイゼリヤ公式サイト)

どうやら、約2カ月前の10月12日に行われた記者会見で、同社の松谷秀治社長が「一番に言わなければいけないと思っているのは『値上げをしない』ということ」と、値上げをしないことを明言していたことが、影響したようだ。

では、はたしてサイゼリヤは「値上げができないために、大盛メニューを販売終了にした」のだろうか。もちろん経営層の心の底は筆者を含む消費者にはわからないところだが、会社側の「品質の安定が困難」という説明は、おそらく本当ではないかと感じている。

理由は、「同社の、円安に強いビジネスモデル」と「徹底的な品質重視の歴史があり、販売終了自体は過去にも何度も見られる」の2点だ。

以下、この2つの点をそれぞれ解説しつつ、紐解いていきたい。

国民的チェーンと呼ぶにふさわしい、サイゼの盤石な経営

まず最初に、同社の決算書を見て、経営の状況を確認していこう。

次ページ直近の決算を見ていくと…
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