サイゼ「値上げせずジリ貧」と思う人に欠けた視点 大盛販売終了を同社の経営・歴史から見ると…

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さきごろ発表された2022年8月期決算によると、売上高は1442億7500万円(前期比14%増)、営業利益は4億2200万円(前期は22億円の赤字)という数字となり、前期よりは大きく持ち直している。経常利益を見ると、さらにぐっと上がって107億7400万円。ここ2年で徐々に回復し、コロナ禍以前を上回る水準となった。

背景にあるのは客足の回復だ。2022年3〜8月の月次報告(全店合計)を見ると、売上高前期比(以下、累計)は129.8%、客数前期比は121.5%、客単価前期比は106.8%と、順調に推移している。直近3カ月(9〜11月)を見ても、いずれも100%を超えている。

ただ、決算の中身を見て見ると、それほど好調とは言えないのがわかる。営業外収益に補助金収入が約98億円(前年は48億円)もあるのだ。これがなければ営業利益同様、経常利益も収支トントンでしかない。

「経営成績に関する分析」の項目には、不安な言葉が並ぶ。多くの会社が決算書によく書くことではあるが、「資源価格の高騰」「円安による食材価格やエネルギー価格の更なる上昇リスク」といった外部環境を嘆く言葉に始まり、「イタリアで発生したアフリカ豚熱の影響によりハム類の輸入ができない」……など、自社特有の話まで、ネガティブなフレーズに事欠かない。

海外展開により為替変動のリスクを分散してきた

とは言え、逆風の中で営業利益が黒字に収まったのも、サイゼリヤがさまざまな対策を講じてきた結果だろう。円安が叫ばれる昨今だが、サイゼリヤは海外展開によって、為替変動のリスク分散が行われている企業でもあるのだ。

2022年8月期の地域別セグメントでは、売上高が日本は1011億2600万円、豪州は56億9000万円、アジアは431億1700万円。利益が日本はマイナス21億100万円、豪州が1億2300万円、アジアが22億3400万円といった具合だ。

決算的には補助金収入の押し上げ効果も大きいが、直近の数字を見る限りは、最悪期からは一歩抜け出つつあるのではないか、とも考えられる。

もともとサイゼリヤの財務は、盤石なことで知られる。貸借対照表を見ると、自己資本比率は63.5%と、飲食業界内ではかなり高い水準にある。サイゼリヤのブレない経営姿勢の背景には、そうした土台の頑丈さもあるといって過言でないだろう。

次に、同社の「徹底的な品質重視の歴史」について触れたい。

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