サイゼ「値上げせずジリ貧」と思う人に欠けた視点 大盛販売終了を同社の経営・歴史から見ると…
そもそもだが、サイゼリヤはこれまでにも、品質を重視した結果、商品の提供休止・終了を度々行ってきた。それどころか、外食企業の中でも、安定供給へのこだわりを強く持ってきた企業だとすら言っていい。
たとえば直近で印象的だったのは、2019年7月に販売が終了となった、前菜メニュー「真イカのパプリカソース」。当時の報道によると、漁獲高が激減したため、高品質な冷凍イカを安定調達できなくなったことが理由だった。終売を受けて、ネット上ではショックの声が相次いだ。筆者もそのひとりで、いまもサイゼリヤへ行くたびに、「帰ってきてやしないか」とメニューを読み込み、今でも肩を落としている。
2022年7月には、イタリアでアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認され、農林水産省が「イタリアからの豚肉等の一時輸入措置」(1月から現在も続いている)を講じた影響で、イタリアの豚肉製品を使用した商品に、大きな影響が出た。
なお、10月〜11月にかけて期間限定販売されたパスタ「アマトリチャーナ」は、豚ホホ肉を熟成・乾燥させたイタリア産「グアンチャーレ」を使用したが、プレスリリースでは「今回使用するイタリア産グアンチャーレは、措置が取られる前に仕入れた」と説明している。
国内外から食材を仕入れる外食企業は、常に多様なリスクと向き合い、さまざまな工夫で乗り越えている。とくにロシアによるウクライナ侵攻が起きた2022年は、以前にも増して調達の難易度も上がっているはずだ。
需要過多で販売停止になることも
サイゼリヤの場合、供給不足ではなく需要過多によって、つまり売れすぎて、販売に影響が出ることも珍しくない。
たとえば、2019年12月に登場した「アロスティチーニ(ラムの串焼き)」は、ラム肉独特の味わいと、付属スパイスの風味が相まって、登場直後から人気メニューに。2020年春、原料不足を理由に販売休止し、一部地域での期間限定販売へ。通常販売の復活後も注目を集め、今年11月29日にも、店舗在庫が終了次第、販売を一時休止すると発表されている。
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