「来年こそ学び直し」誓うなら必ず押さえたい視点 リスキリングの先にある「汎用力」こそ重要だ
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真の仕事能力は「あれができる、これができる」というスキルを超えている(写真:PIXTA)
ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済からスポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。
2022年に注目度の高まった「リスキリング」。来年こそは取り組みたいと考える人へ、一橋ビジネススクールの楠木健教授が「立ち止まって再考しておきたいこと」を投げかけます(本記事は特集内にも収録しています)。
そもそも「仕事」とは何か

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まずは仕事とは何かをはっきりさせておきましょう。「趣味」ではないもの──これが僕の「仕事」の定義です。
趣味は徹頭徹尾自分のためにやることです。自分が楽しければそれでいい。これに対して、仕事は「自分以外の誰かのためにやること」です。釣りは趣味ですが、漁師は仕事です。「お客」の役に立ってこその仕事です。
お客は外部の顧客とは限りません。組織の中にもその仕事を必要としている人──上司や部下や横で働いている人々──がいます。彼らに価値を与えることができてはじめて仕事になります。
あっさり言えば、仕事は労働市場における価値交換です。自分の仕事能力を相手に買ってもらう。小売業がお店で商品をお客に売るのと同じ。お客にとってまるで価値のない商品を店頭に並べても、買ってくれる人はいません。どこにでも大量に売っているものであれば、こちらにとってよい条件で買ってくれるお客は現れません。
要するに、需要と供給の交わるところで価値交換は成立します。
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