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「来年こそ学び直し」誓うなら必ず押さえたい視点 リスキリングの先にある「汎用力」こそ重要だ

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  • 楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授
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「ポータブルなスキルを持て」と言うけれど、その分野にはまらないとスキルは使えない。汎用性があるのはセンスのほうです。職位や職務領域を超えて、しかもどんな局面でも四六時中使える。リアルの営業でセンスがある人は、オンラインの営業でも大体うまくいく。

相手が本当のところ何を欲しがっているのかを見抜く力がその人の営業力の中核にあるとしたら、そのセンスは人事の仕事にも生かせるはず。センスは長い仕事生活を通じた拠り所になります。

スキルであればそれを開発する定型的な方法、すなわち「教科書」があります。リスキリングというとたいへんなことのように聞こえますが、やるべきことは決まっています。定評のある優れた方法を選び、継続的に努力を投入すれば、かならずスキルは向上します。

やればいいだけ──こんなにうまい話はありません。

当事者が「育つ」しかない

センスには標準的な教科書はありません。それでも生得的な能力ではありません。センスは自らが経験を重ねる中で錬成するものです。他者が「育てる」ものではなく、当事者がセンスある人に「育つ」しかありません。

だとしたら何ができるのか。その第一歩は、周りにいる「センスがある人」を1人選び、その人をよく見るということ。

「センスのよさ」は一言では言語化できません。それでも、センスがある人とない人とは容易に見分けがつく。ある局面や状況で、なぜその人はそうしたのか。なぜこうしなかったのか。漫然と見るのではなく、考えながら見る。この作業を続けていくうちに、センスの輪郭がだんだんと見えてきます。

スキルが特定の物差しの上での量の多寡の問題(例えば「私はTOEIC900点です」)であるのに対して、センスは千差万別です。センスがある人(と同時にセンスがない人)の行動を注視し、1つひとつの文脈で「センスのよさ」を読み解き、つかみ取っていく。見て、見続けて、見破る──センスを磨くためにはこうした帰納的方法しかありえません。

だからこそ「仕事ができる人」はいつも希少な存在なのです。つまりは、それだけ価値があるということです。

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