アブラマシマシ注文する人が知らない残念な真実 糖質制限してもムダ?肥満になる「別の要因」

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脂質中毒が生まれやすい「社会的」な理由とは、なにはさておき食生活の変化です。

日本では1970年代あたりから外食産業が急成長を始め、それまでは特別なものだった外食が、とても身近なものになりました。外食産業の市場規模は、今や約26兆円といわれています。食品小売市場が約48兆円ですので、ざっくりと金額ベースで考えると、日本人は3食に1食以上は外食をしている計算になります。

コンビニエンスストアが誕生したのも1970年代(1973年)です。50年前にできた便利なお店は、現在は店舗数が約5万5000軒に増えました。その市場規模は約10兆円に膨らんでいます。

聞くところによると、最近は自宅には食器はおろか箸すら置いていない人もいるようです。朝はファーストフード、昼はファミレス、夜はコンビニ弁当とドリンクを買って帰る、というような生活を送っていれば、食器も箸も必要ありません。半世紀ほど前までは、食材を買ってきて、自宅で料理もお弁当も作らなければならなかったのに、今はそんな手間が省けてしまう。とても便利になりました。けれども、ここにこそ脂質中毒が生まれる原因があるのです。

外食・中食のおいしさの秘密は「あぶら」

自炊の料理に比べると、外食は脂肪の摂取量が増えやすい傾向があります。外食産業の売上1位は某牛丼店、2位はハンバーグが有名なファミリーレストラン、3位は某ハンバーガー店、4位は焼肉屋などを中心とした居酒屋グループ、5位は別の某牛丼チェーン……。全体的に肉類を扱うお店が多いという事実があるとはいえ、見事なまでに脂を多く含んだ牛肉を扱う会社が上位に入っています。

そして、肉類以外の料理であっても安心はできません。外食で提供される料理には、脂肪が添加されていることがよくあるからです。

料理にあぶらを加えると、味にパンチが出て、食感はまろやかになります。お客さんは、薄味のボソボソ・パサパサした料理よりも、濃厚な味・しっとり・ねっとり食感の料理を好みます。お客さんを満足させ、リピーターになってもらうためには、あぶらは重要な武器になるのです。

同じことは中食にもいえます。持ち帰りのお弁当やお総菜は、炊きたて・作りたてではありません。炊きたて・作りたてに近いおいしさを感じさせるために、ご飯類や麺類にもあぶらをどんどん加えて、味を際立て、食感を良くしています。同じ理屈で、冷凍食品やインスタント食品などにもあぶらが入っています。

昔は、家庭で料理をして食事をするのがあたりまえでした。しかも昔は肉類が高価だったので、ご飯、味噌汁、野菜、魚を中心にした食事をしていました。必要以上のあぶらが付け入る隙のない食生活でした。それが、外食・中食を中心とした食生活になると、自炊よりもあぶらの摂取量が多い食事が増えることになります。

連続してあぶらを摂ると、舌の脂肪味は鈍感になります。満足感を得るためには、さらに大量のあぶらを食べる必要が出てきます。そして、さらに舌は鈍感になっていく……。外食・中食産業の経営戦略が、脂質中毒を生み出す悪循環をつくっていると言えましょう。

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