アブラマシマシ注文する人が知らない残念な真実 糖質制限してもムダ?肥満になる「別の要因」

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しかし、肉類や油料理がそこまで好みではない人や、ましてや意識してあぶらを遠ざけている人であっても、じつは脂質中毒になっていたというケースがよくあるのです。「私は自制できているから大丈夫」と安心しているあなたも、すでに脂質中毒になっているかもしれないのです。

中毒になるのは自己責任だと思うかもしれません。アルコール依存症は体調が悪くなっているのを知りながらお酒を飲み続けたから、ニコチン依存症は意志が弱くてタバコを止められなかったから、薬物依存症は法律を無視してまで快楽に浸ってしまったから、彼ら彼女らは自己責任で中毒になったのだと……。

ところが、脂質中毒は、これらとは大きく異なります。自己責任とはいえない面が多大にある厄介な依存症です。

脂質中毒が生まれる理由は大きくいうとふたつあって、ひとつは「生理的」な理由、もうひとつは「社会的」な理由です。脂質中毒とはそもそもいったいなんなのか。そのメカニズムについて説明していきたいと思います。

脳にインプットされている「あぶらを摂れ」

まずは「生理的」な面から説明していきましょう。

話は太古の昔にさかのぼります。ヒトが誕生したのは200万年前、現在の人類につながる新人類が誕生したのは20万年前と考えられています。想像してみてください。我々の祖先はいつもおなかを空かせていました。農業も畜産業もないのですから、食料は自らの手で探し出して、採って、捕まえて、食べるしかありませんでした。食料が豊富な夏の季節はまだしも、植物が枯れ、動物が活動しない冬になると、常に飢えと隣り合わせにいたはずです。

飢餓に備えるため、しばらく食べなくても大丈夫なように、人はエネルギーを蓄えておくことができます。それが体につく脂肪です。

エネルギーを蓄えるために、最も効率的なのは、脂質を摂ることです。

穀物などに多く含まれる炭水化物(糖質)……1グラムあたり4キロカロリー
肉や魚に含まれるたんぱく質……1グラムあたり4キロカロリー
油や脂(脂質)……1グラムあたり9キロカロリー

炭水化物の倍以上のエネルギーがあるのですから、飢えに備えるために、脂質を摂るのはすごく効率的ですよね。

おそらく、脂質を上手に摂ることができ、脂質を「おいしい」と感じる味覚を持ち、たくさん食べてきた祖先のほうが、飢えを凌ぐことができ、子孫をたくさん残すことができたはずです。私たちは、そんな油や脂で飢えを凌いできた人類の末裔です。つまり、私たちには「あぶらを摂れ」「あぶらはおいしい」という本能が残っているのです。

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