「両利きの経営」が一代だけでは終わらない理由 20年以上前から知の探索を唱えた出井伸之氏

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入山:ソニーは現在、いろいろな知の探索の仕込みをしています。さらに、去年は子会社であるアニプレックスの「鬼滅の刃」が大ヒットし、ソニーはすごいという評価に、風向きが一気に変わりましたね。

冨山:目に見えて、アジャイルなことができる会社になりました。まさに「デジタル・ドリーム・キッズ」で、デジタル技術に目を輝かす子どもたちがソニーを支えている。会社の側もお客さんを支える。それが出井さんの世界観で、そのとおりになった。だから、これからの人たちも長い時間軸で取り組まないといけません。

それから、もう1点、経営者を評価するときにも、その時間軸で見てほしいですね。CEOになって最初の2、3年はすごく業績よくても、それは前任者の功績です。その人の業績は5年くらい経ったあたりから見ないと。

長い時間軸でイノベーションを支援する

入山:確かに目の前の株価が上がったとか、短期的な指標で評価するのはよくないですね。

冨山:ましてや、トランスフォーメーションはもっとかかります。出井さんが亡くなったときに、現CEOの吉田憲一郎さんが「今日のソニーは出井さんが考えたことを実現している姿で、出井さんなくして、今のソニーはいない」というメッセージを出していました。みんなもどこかでそれに気づいていたので、大きな反響があったのだと思います。

しかし、それは出井さんだけでなく、今日の経営者にすべて当てはまることです。ソニーの例は、経営者の評価について、見方を変える1つのきっかけになったと思いますね。

入山:2~3年前に、出井さんから急に連絡をいただいて、フラッと私の研究室にいらっしゃったことがあります。それまで交流はなかったのですが、私の前に出井さんが座っている! これはどういうことかと目を疑いました。

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