鳥谷敬氏「体の使い方で一番重要なのはお尻」 体の筋肉の7割を占めるお尻を鍛えると変わる
食事やトレーニングも同じで、テレビやネットで「これをやれば痩せる」「これさえ食べれば健康に」と紹介していても、自分に何が合うかは1人ひとり違うんです。だからこそ、まずは自分で試してみること。市販の体組成計があれば体重や体脂肪率をチェックできるし、健康診断の血液検査でもわかることはたくさんあります。
──トレーニングでも食事でも、情報を鵜呑みにせず、自分に合ったものを選択することを大切にしてきたんですね。
プロのトレーナーや管理栄養士に一任する方法ももちろんあります。ただ、私の場合はどのメニューも自分に合うか試し、納得した上で取り入れるようにしていました。「あのトレーナーが薦めたトレーニングでケガしてしまった」「あの栄養士の言うとおりに食べていたら太ってしまった」と言い訳したくなかったので。
野球というスポーツの性質上、どんな強打者でも7割は失敗します。私の場合はその7割の失敗を納得して受け入れるために、何でも自分の判断で選択するようにしていました。鼻にデッドボールを受けた時も、医師からは「血が出てしまうので風呂には入らないでください」と言われましたが、「いっそのこと血を出し切ってしまおう」とサウナに入って延々と血を流し続けた。そうしたら腫れが引き、鼻の通りもよくなりました。
「野球選手・鳥谷敬」を別ものと考えている
──メンタルの整え方についてもお聞きします。鳥谷さんは、グラウンドの内外でさまざまなプレッシャーがあったと思いますが、その中で平常心を保ち続けられた秘訣は何ですか。
「野球選手・鳥谷敬」と「普段の鳥谷敬」を、完全に別ものと考え、切り離していました。グラウンドにいるのは「野球選手・鳥谷敬」。でも、家に帰ったら「普段の鳥谷敬」に戻って家族と接する。このように2つの人格を使い分けていました。
──野球選手の自分を別人格として切り離す……面白い発想ですね。
キャンプ中もシーズン中も、つねに記者に囲まれて「昨日、何食べましたか?」「髪切りましたか?」などと聞かれる。そこで「そりゃ髪くらい切るだろ」といちいち怒っていたら身が持たないですよね。でも、「野球選手・鳥谷敬」を演じていると思えば「そうなんですよ。昨日切ったんですよ」と冷静に返すことができます。そもそも「野球選手・鳥谷敬」には興味がないから、新聞も読まないし、エゴサーチもしませんでした。
このメンタルコントロールの手法は、引退してからも続けています。引退後はいろいろなテレビに出演させてもらう機会も増えましたが、テレビに出ているのは自分ではない「元プロ野球選手・鳥谷敬」。だから出演した番組は一切観ません。変に観てしまったら「なんであのコメントがカットされたんだろう」などと余計な感情がわいてしまう。それが疲れるし、時間のムダになるので。
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