鳥谷敬氏「体の使い方で一番重要なのはお尻」 体の筋肉の7割を占めるお尻を鍛えると変わる

拡大
縮小

──すみません、お尻を意識する歩き方というのは具体的に……。

では、歩き方を実践してみますね。

ポイントは、肩から背中、腰、ヒザ、足首までのラインをつねに一直線に保つこと。上半身がお尻の上に乗っている状態で、地面からの反発をお尻で受け止めながら歩きます。体を少し前傾させてみてください。倒れないために前足が自然に出ますよね。足を前に踏み出すのではなく、自然に遅れて足が出るイメージです。

体より足が先に出ると、地面からの反発を前足のヒザで受けてしまう。例えるならS字に曲がった杖をついているようなもので、反発のパワーが逃げてしまうし、ヒザにも負担がかかってしまう。そうならないためにも、足が体を追い越さないよう意識するんです。

(撮影:尾形 文繁)

──お尻を意識しながら歩く。競歩選手のようなイメージですね。

まさにそうです。競歩選手は50キロという長い距離を、お尻を使って骨盤を左右に入れ替えながら歩いている。理にかなった歩き方です。

お尻を意識しながら歩くことで、体のバランスの崩れにも気づきやすくなります。歩いている時に「右のお尻に力が入っていないな」と感じたら、それはバランスが崩れているサイン。首を傾けるなど、別の形でバランスを保とうとしている証拠で、首や肩の痛みの原因にもなります。

その時は、右のお尻を特に意識して歩いてみる。そのように日々お尻や骨盤の向きを意識しながら歩いたり走ったりしているうちに、だんだんと体のバランスに敏感になっていきます。「あ、気づいたら1時間も歩いていた。でもまだ余裕があるぞ」と、体の疲れ方も変わってきます。

いろいろ試して自分に合った食事法に

──食事や睡眠など生活習慣を整えるためのメソッドも数多く紹介していますね。

現役の時は、体重は80~82キロ、体脂肪率は10~12%を目標に、さまざまな食事管理の方法を試しました。糖質制限、グルテンフリー、断食……いろいろ試しては数値の変化をチェックすることで、自分の体質に合う食事方法を選んでいました。

例えば、「朝は果物を摂るといい」とよく言いますよね。私も実際に取り入れてみたら、体脂肪率がすぐに2%上がってしまった。「自分の体質では、果糖は吸収がよすぎて太りやすくなるんだ」と気づいて、果物は摂らないようにしました。

──世の中で「これがいい」と言われるものが、必ずしも自分の体質に合っているとはかぎらないんですね。

そうなんです。プロ野球の世界ではピッチャーなら200勝、バッターなら2千本安打が一流選手の証とされますが、200勝した人は全員違う投げ方、2千本安打を打った人は全員違う打ち方をしています。1人ひとりが自分に合ったやり方で成功しているわけです。

次ページ大事なのは「自分に合った方法」を選ぶこと
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT