東大と京大、数学入試に見た「求める学生」の違い 総合力の東大、未熟でも自己表現を求める京大
また、(1)にあるように、問題の枝葉を取っ払って本質を抽出する力を問うためにも、問題設定がややこしい問題なども出題されるのでしょう。
さらに、(2)の「簡潔に」という表現も東大ならではだと思います。遠回りや力技といった解答ではなく、問題を端的に捉えられているかどうかまでを問うために、解答量を制限しているのでしょう。
ここで、実際に過去の東大入試で出題された問題をひとつご紹介します。
東大らしい、誘導の意図を掴みづらい問題です。⑴からなかなかの計算量で、答えを出しても不安になる複雑さです。また、⑵の1が99回以上という条件と、⑴の繋がりが非常に見えづらいことも特徴と言えるでしょう。
京都大学の求める学生像
次に、京都大学の数学について解説します。
前提として、京都大学の基本理念には以下のような内容が書いてあります。
また、入試の出題方針として数学に関しては以下のように書かれています。
こういった特徴を踏まえて京都大学の数学の特徴を見てみましょう。
京大数学の特徴としては以下のような点が挙げられます。
実際に誘導を少なくする理由としては、自分で考えたことが類推や直観によるものなのか、それとも論理的に示されているものなのか、きちんと自分で表現することを要求しているからでしょう。また、計算量がそこまで多くないという部分も、計算能力を問うというよりは立式に至る過程を重視したいという京大の意図が見て取れます。
また、3点目に挙げたように、京大数学では適当な計算をしても数値が求まるものも多いです。その最たるものが常用対数の利用でしょう。計算自体が大変なわけではなく、適当に近似値で計算すれば答えだけは求まるような問題を出題し、その背景にある論証の組み立てを見ているようにも思います。
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