紫式部、現代のSNS的な痛烈「清少納言」批判の中身 1000年前に記されたあまりに現代的な感性

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実は清少納言も、紫式部と同じように夫と別れたシングルマザーだった。紫式部は死別、清少納言の場合は離婚という違いはあるものの、それでも紫式部と清少納言の境遇はかなり似通っているのである。田舎の主婦が教養を買われて出仕、という人生まで似ている。

だとすれば、紫式部も、もし清少納言の人となりをもっと知っていたら、違う印象を持っていたのではないか、と思えてならない。

文章上でしかお互いを知らないのが惜しい

もしかすると、紫式部と清少納言は、対面すれば孤独をわかち合えたところもあったかもしれない。清少納言は、紫式部の自虐に対して「女性が漢文読めるの素敵じゃん! 夫がいなくなったらもっと恋できるじゃん! 最高よ!」と励ましてくれたかもしれない。

2人の書いたそれぞれの日記、随筆を読んでいると、そんな妄想も膨らむ。2人が文章上でしかお互いを知らなかったのはつくづく惜しいことだ。

タイプの異なる、平安時代を生きた、すれ違う2人の天才女性作家。世間は「紫式部と清少納言は仲悪かった」なんて言いがちだが、案外1000年経った今ごろ、2人は和解しているかもよ……? なんて私は思うのだった。

三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

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